
野球の試合で、出塁したランナーが守備側のスキをついて次の塁に進む盗塁。
毎年セ・パ両リーグで盗塁数の最も多い盗塁王が誕生していて、1シーズンあたり30以上もの盗塁を成功させています。
今回は、そんな盗塁の数ではなく、盗塁の成功率にスポットを当てて通算の盗塁成功率ランキングを作ってみました。
目次
盗塁成功率とは?何%以上が優秀?
盗塁成功率とは、その名の通り盗塁を成功する確率のこと。
10回盗塁を企画して8回成功すると、成功率は80%(.800)となります。
ピッチャーの牽制に誘い出された場合、進塁方向でアウトになった場合のみ盗塁失敗が記録されます。
帰塁方向でアウトになると、単なる走塁死です。素早い牽制によって一塁上でアウトになった場合も帰塁方向なので、盗塁失敗にはカウントされません。
盗塁成功率は、一般的には70%、出来れば75%以上は欲しいと言われていて、80%を超えるとかなり優秀、90%超えは超人レベルです。
なお、成功率70%以上の根拠は、以前知恵袋で説明がありました。
日米ともに7割以上くらいから優秀と言われていますね。
日本のほうの根拠はちょっとわからないのですが、
メジャーではこの根拠として統計データで
無死一塁の得点期待値:0.896点
無死二塁の得点期待値:1.142点
一死無走者の得点期待値:0.272点
というデータがありまして、このデータから、
1.142×[盗塁成功率]+0.272×(1-[盗塁成功率])>0.896
にならないと盗塁を試みる価値がないと言われています。で、この数字なんですが、
1.142×[盗塁成功率]+0.272×(1-[盗塁成功率])=0.896
となるのが71.7%の時となります。
つまり、72%以上の成功率が残せない限り、盗塁という手段は
意味がないものとなってしまうので、これ以上を残すことが求められています。ですからメジャーで盗塁のできる(能力があり、監督が盗塁してよいという)選手は
最低でも盗塁成功率72%が求められているようです。
期待値として成功率が72%を下回るなら、盗塁をしない方がランナーの生還率が上がるというメジャーリーグの統計データです。
日本プロ野球に完全に当てはまるとは言い切れませんが、参考データにはなります。
盗塁成功率のシーズン・ランキング(2014年〜)
ここ数年のシーズン盗塁成功率ランキングTOP5をご紹介します。
数が少ないとあまり参考にならないので、少し厳しめに15盗塁以上の選手をピックアップ。
2014年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
荒木雅博(中日) | 17 | 1 | .944 |
柳田悠岐(ソフトバンク) | 33 | 6 | .846 |
梶谷隆幸(DeNA) | 39 | 8 | .830 |
坂本勇人(巨人) | 23 | 5 | .821 |
明石健志(ソフトバンク) | 17 | 4 | .810 |
2015年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
山田哲人(ヤクルト) | 34 | 4 | .895 |
ヘルマン(オリックス) | 17 | 2 | .895 |
岡大海(日本ハム) | 18 | 3 | .857 |
中島卓也(日本ハム) | 34 | 7 | .829 |
西川遥輝(日本ハム) | 30 | 7 | .811 |
2016年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
山田哲人(ヤクルト) | 30 | 2 | .938 |
柳田悠岐(ソフトバンク) | 23 | 2 | .920 |
西川遥輝(日本ハム) | 41 | 5 | .891 |
荻野貴司(ロッテ) | 16 | 2 | .889 |
梶谷隆幸(DeNA) | 26 | 7 | .788 |
2017年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
上本博紀(阪神) | 16 | 1 | .941 |
荻野貴司(ロッテ) | 26 | 3 | .897 |
西川遥輝(日本ハム) | 39 | 5 | .886 |
外崎修汰(西武) | 23 | 3 | .885 |
梶谷隆幸(DeNA) | 21 | 3 | .875 |
2018年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
西川遥輝(日本ハム) | 44 | 3 | .936 |
植田海(阪神) | 19 | 2 | .905 |
山田哲人(ヤクルト) | 33 | 4 | .892 |
糸井嘉男(阪神) | 22 | 3 | .880 |
中島卓也(日本ハム) | 29 | 5 | .853 |
2019年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
山田哲人(ヤクルト) | 33 | 3 | .917 |
増田大輝(巨人) | 15 | 2 | .882 |
周東佑京(ソフトバンク) | 25 | 5 | .833 |
大島洋平(中日) | 30 | 7 | .811 |
金子侑司(西武) | 41 | 10 | .804 |
2020年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
周東佑京(ソフトバンク) | 50 | 6 | .893 |
和田康士朗(ロッテ) | 23 | 3 | .885 |
西川遥輝(日本ハム) | 42 | 7 | .857 |
佐野皓大(オリックス) | 20 | 4 | .833 |
荻野貴司(ロッテ) | 19 | 4 | .826 |
2021年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
中野拓夢(阪神) | 30 | 2 | .938 |
和田康士朗(ロッテ) | 24 | 5 | .828 |
塩見泰隆(ヤクルト) | 21 | 5 | .808 |
周東佑京(ソフトバンク) | 21 | 5 | .808 |
近本光司(阪神) | 24 | 7 | .774 |
2022年の盗塁成功率ランキング
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
三森大貴(ソフトバンク) | 20 | 3 | .870 |
周東佑京(ソフトバンク) | 22 | 4 | .864 |
近本光司(阪神) | 30 | 5 | .857 |
荻野貴司(ロッテ) | 15 | 3 | .833 |
髙部瑛斗(ロッテ) | 44 | 10 | .815 |
毎年、両リーグで1名は90%近く、または90%を超える高い成功率を誇る選手がいます。
盗塁成功率の通算ランキング歴代
通算盗塁成功率ランキングを、150盗塁以上を記録した選手に絞ってまとめています(戦前の記録は除外)。
盗塁成功率の通算10傑+α
150盗塁以上成功している選手限定で、太字は現役。
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
イチロー(オリックス) | 199 | 33 | .8578 |
山田哲人(ヤクルト) | 190 | 33 | .8520 |
西川遥輝(楽天) |
330 | 64 | .8376 |
鈴木尚広(巨人) | 228 | 47 | .8291 |
広瀬叔功(南海) | 596 | 123 | .8289 |
荻野貴司(ロッテ) | 259 | 55 | .82484 |
呉昌征(巨人ほか) | 381 | 81 | .82467 |
松井稼頭央(西武ほか) | 363 | 80 | .8194 |
赤星憲広(阪神) | 381 | 88 | .8124 |
木塚忠助(南海ほか) | 479 | 114 | .8078 |
柳田悠岐(ソフトバンク) | 158 | 38 | .8061 |
中島卓也(日本ハム) | 198 | 48 | .8049 |
現役引退が近づくと盗塁成功率も下降線を辿るであろうことを考慮しても、山田哲人・西川遥輝・荻野貴司の成功率の高さは目を見張ります。
メジャーリーグでも盗塁王を獲得、球界屈指の盗塁成功率を誇るイチローの日本時代(18歳〜27歳)に匹敵する(荻野は歴代7位相当の)数値は圧巻です(なお、イチローはメジャー通算盗塁成功率も.813とハイレベル)。
山田哲人は2019年の交流戦で盗塁を成功させて、通算150盗塁に到達しました。チームが16連敗するなど苦しい時期もありましたが、相変わらず抜群の成功率で盗塁を決め続けています。
柳田悠岐も2020年9月に通算150盗塁を達成。意味不明なホームランが注目されがちですが、抜群の選球眼で高い出塁率を誇り、盗塁成功率まで8割超えを記録している5ツールプレーヤーです。
現役選手ランキング
通算150盗塁以下での現役選手 盗塁成功率ランキングです(糸井は2023年シーズン開幕前まで掲載)。
選手名(チーム名) | 成功 | 失敗 | 盗塁成功率 |
岡大海(ロッテ) | 89 | 14 | .8641 |
周東佑京(ソフトバンク) | 118 | 20 | .8551 |
植田海(阪神) | 55 | 13 | .8088 |
塩見泰隆(ヤクルト) | 62 | 15 | .8052 |
福田秀平(ロッテ) | 84 | 20 | .8077 |
和田康士朗(ロッテ) | 58 | 15 | .7945 |
糸井嘉男(阪神) | 300 | 86 | .7772 |
近本光司(阪神) | 121 | 35 | .7756 |
外崎修汰(西武) | 125 | 37 | .7716 |
源田壮亮(西武) | 155 | 48 | .7635 |
佐野皓大(オリックス) | 45 | 14 | .7627 |
坂本勇人(巨人) | 160 | 50 | .7619 |
増田大輝(巨人) | 57 | 18 | .7600 |
青木宣親(ヤクルト) | 173 | 59 | .7457 |
金子侑司(西武) | 221 | 86 | .7199 |
周東佑京、岡大海、塩見泰隆、植田海など通算で80%を超える選手が複数名いて、坂本、青木らも75%程度と高い水準で盗塁を成功させています。
これらの選手については今後の活躍と、通算盗塁成功率の推移にも注目したいと思います!
以上、通算の盗塁成功率ランキングでした!