サイクルヒットとは?歴代達成者や複数・未遂・わざと記録、難しさなどサイクル安打まとめ
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2022年・2023年シーズンには記録されませんでしたが、2021年シーズンでは横浜DeNAベイスターズの牧秀悟と東京ヤクルトスワローズの塩見泰隆が達成したサイクルヒット(牧は公式戦では史上初の新人達成者)。

2019年、阪神タイガースの梅野隆太郎が左足薬指を骨折している中で達成して以来、2年ぶりの偉業です。

長い歴史の中で、牧のサイクルヒットがプロ野球史上76度目(71人目)という珍しい記録です。2022年は達成者なし。

2019年オールスターゲーム第2戦(7/13)
阪神のドラフト1位ルーキー、近本光司が初出場の球宴でサイクルヒットを達成しました。
オールスターでのサイクルヒットは古田敦也以来2人目の記録で、新人でのサイクル安打達成は公式戦を含めても初(当時)です。

 

そんなサイクルヒット(サイクル安打)について、意味・由来や歴代・複数回達成者、未遂、わざと記録したケースなどをまとめています。

サイクルヒットとは?

サイクルヒットとは、1人のバッターが1試合の中で単打(シングルヒット)、二塁打(ツーベース)、三塁打(スリーベース)、本塁打(ホームラン)全てを1本以上打った場合に成立する記録です。

ヒットを打つ順番は特に定められていませんが、単打、二塁打、三塁打、本塁打と小さい順に打って達成するのを「ナチュラルサイクルヒット」、反対に大きい順に打つことを「リバースサイクル」と呼びます。

 

サイクルヒットは別名「一巡安打」とも呼ばれ、名前の由来は英語の「hit for the cycle」から来ていると思われます。サイクルヒットという言葉は和製英語です。

サイクルヒットは何がすごい?難しさ|確率はノーヒットノーラン以下

サイクルヒットはバッターが1試合で最低4安打以上を打たなければならない上、最も出にくいとされるスリーベースを含むため達成が非常に難しい記録です。

どのくらい難しいかというと、先発ピッチャーが1人で投げきり相手打線を無安打無得点に抑える、いわゆるノーヒットノーランよりも発生確率の低い記録なのです。

  • サイクルヒット:76回
  • ノーヒットノーラン:94回

(※2019年4月時点のデータでは、メジャーリーグではサイクルヒット326回、ノーヒッター300回と逆転)

 

ノーヒットノーランの権利を持った選手が1チームあたり1試合につき1人だけなのに対して、サイクルヒットは8人ないし9人に権利があります。

しかし、実際に達成された数は少なく、いかにサイクルヒットが難しくて運に左右される記録なのかを物語っています。

 

高打率の選手に達成のチャンスが多そうなサイクルヒットですが、一概にそうとも言い切れず、例えばイチローや青木宣親は日米合わせても達成していません

一方、生涯打率が約2割程度の細川亨が達成していたりと、やはりサイクルヒットは運の要素が大きい記録だと言えます。

歴代達成者一覧

公式戦でのサイクルヒット歴代達成者を一覧にしようと思いましたが、表が長くなるので当記事では今もプロ野球で現役でプレーしている選手のみを記載しています。

(NPB公式サイトでは全てのサイクルヒット達成者を一覧で掲載)

過去のサイクルヒット達成者一覧(NPB公式サイト)

 

なお、1948年に初めて記録された日本プロ野球のサイクルヒットですが、当時はサイクル安打の概念がまだ存在しておらず、1965年にスペンサーが達成した際に記録の希少性を記者に説いたことがキッカケで注目されるようになったという経緯があります。

選手名 所属球団 達成日 打撃成績
大島洋平 中日 2016年7月20日 右本 左2 左3 左安 三飛 四球
(5打数4安打1四球)
柳田悠岐 ソフトバンク 2018年4月21日 右本 中安 中2 中安 右3
(5打数5安打)
山田哲人 ヤクルト 2018年7月9日 左安 四球 左本 左2 右3
(4打数4安打1四球)
桑原将志 DeNA 2018年7月20日 左本 左安 右3 四球 左2
(4打数4安打1四球)
平田良介 中日 2018年8月16日 左本 左2 左2 右3 左安
(5打数5安打)
梅野隆太郎 阪神 2019年4月9日 右3 右安 三ゴロ 左本 右2
(5打数4安打)
牧秀悟 DeNA 2021年8月25日 右2 右中本 中安 捕邪飛 右3
(5打数4安打)
塩見泰隆 ヤクルト 2021年9月18日 右安 右3 右本 左2 見三振 空三振
(6打数4安打)

ペナントレース以外に目を向けると、1992年のオールスターで古田敦也が史上初のサイクルヒットを達成。

それから27年後、2019年のオールスター第2戦では、近本光司が史上初の新人サイクルヒット(新人選手によるオールスター先頭打者ホームランも史上初)を記録しました。

ポストシーズン(クライマックスシリーズやプレーオフ、日本シリーズ)でサイクルヒットを達成した選手はまだいません(ノーヒットノーランは菅野智之が2018年のCSで達成しましたね)。

複数回達成者は4名、最多はローズの3回

ただでさえ達成が難しいサイクルヒットですが、複数回記録しているツワモノが4名います。

1人目は、日本初のサイクルヒット達成者である藤村富美男。1948年と1950年に記録しました。

2人目は松永浩美。阪急ブレーブス時代の1982年と、オリックス・ブルーウェーブ時代の1991年にサイクルヒットを達成。

 

3人目は横浜ベイスターズの超優良助っ人だったロバート・ローズ。

なんと1995年、1997年、1999年とプロ野球最多の合計3度もサイクルヒットを記録しました。

1999年シーズンはプロ野球の打点記録を更新する勢いで開幕から打ちまくり、シーズン153打点は現在も歴代2位の記録です(134試合出場)。

 

4人目は日米で長く活躍した福留孝介。

中日在籍時の2003年と、2016年には阪神の選手としてサイクルヒットを達成しました。

もともと所属の球団で達成し、移籍後のチームでもサイクルヒットを記録したのは福留孝介のみ。

ちなみに、最年長サイクルヒット達成記録も福留孝介の39歳3ヶ月4日です。

サイクルヒット未遂は多数発生

「サイクルヒット未遂」という正式な記録はありませんが、あと一歩のところでサイクル安打達成ならずの状態を指す言葉としてよく使われています。

 

代表的なのは松井秀喜と梶谷隆幸。

松井秀喜は2001年5月23日のヤクルト戦で、残り単打が出ればサイクルヒットという状況の中でツーベースを放って達成ならず。チームが3点差で負けていたため、個人の記録よりもチームの勝利を優先した形でした(なおチームは8-14で敗戦)。

 

梶谷隆幸は2014年7月11日のヤクルト戦で、残り二塁打が出ればサイクルヒットという状況の中で本塁打を放って達成ならず。

ちなみに、三塁ベースを踏み忘れてしまえば記録が二塁打になるので、スタンドインしたからといってサイクルヒットのチャンスが無くなった訳ではありませんでしたが、モラル的にも?実行はされませんでした。

わざとサイクルヒットを記録できる?

先ほど書いたように、サイクルヒットまで残り1本がホームラン以外の場合、打球をスタンドインさせてしまえば「わざと」記録達成をすることは可能です。

しかし、これまでにベースの踏み忘れでわざとサイクルヒットを達成した選手はいません。

 

代わりと言ってはなんですが、サイクルヒット達成をアシストするために「わざと」緩慢守備をしたケースが存在したのでご紹介します。

わざと相手選手が緩慢プレーをしたおかげでサイクルヒットを達成できたのが、1983年4月30日の山本浩二(広島)。

 

36歳6ヶ月だった山本浩二は、三塁打が出ればサイクルヒットの場面で右中間を破る打球を放って全力疾走。

しかし、若い頃とは違い足が遅くなっていた山本浩二、三塁は完全アウトのタイミングでしたが...なんとサードを守っていた掛布雅之が転倒&タッチが遅れて判定はセーフ。サイクルヒット達成となりました。

ですが当時、掛布のプレーが「わざとらしすぎる」として、NHKで全国放送されていたこともあり抗議の電話が殺到したとか(掛布による武士の情けなどと言われていたようです)。

 

2人が現役引退をして長い年月が経った2008年、バラエティ番組に出演した掛布は山本浩二同席のもとで当時の「疑惑のサイクルヒット」について弁明。

前の打席でセンター前ヒットを打って、その後三塁まで進んだ山本浩二から「次の打席で外野を抜いたらどんな打球でもココへ突っ込むからよろしく頼む」と言われ、密約を交わしていたことを明かしました。

このワケありプレーが出た時の試合のスコアは広島が12-0でリード。こうした背景もあって生まれたサイクルヒットだったようです。

ちなみに、山本浩二の疑惑のサイクルヒットは、当時最年長での達成記録でした。

 

達成した本人はもちろんですが、その場に居合わせた選手にとっても珍しい出来事であるサイクルヒット。

わざとや未遂も含め、サイクルヒットにまつわるあれこれを更新していければと思っています。

 

余談ですが、球場別で見ると最多は神宮球場の5回、確率で言うとナゴヤドームが最もよくサイクルヒットが出る球場です(1997年会場以来、4度の発生で、全て中日の選手が達成)。

また、ヤフオクドームとZOZOマリンでは未だにサイクルヒットが達成されておらず、球団別では楽天の選手がまだ1度も記録していません。

このあたりにも注目していければと思います。

大谷翔平がメジャーリーグでサイクルヒット達成|MLB日本人初

大谷翔平が2019年6月13日のレイズ戦で、第3打席までに本塁打、二塁打、三塁打を放ち、迎えた第4打席でシングルヒットを打ってサイクルヒットを達成しました!(プレー映像は下にあります)

メジャーリーグでサイクルヒットを記録したのは日本人初の偉業です。

 

大谷翔平のサイクルヒットは、メジャー2019年シーズンでは4月5日にツインズのホルヘ・ポランコが達成して以来で、通算326度目の記録です。

エンゼルスでは2013年5月21日のマイク・トラウト以来、球団8度目(7人目)となるサイクルヒット達成となっています。

Players Who Hit For the Cycle | MLB.com(メジャーリーグ・サイクルヒット達成者一覧)

 

二刀流挑戦での新人王獲得に続いて、またしても前例のない記録を打ち立てました!

大谷翔平サイクルヒット達成動画(全4打席ハイライト)

エンゼルス公式アカウント(Twitter)が、大谷翔平サイクルヒットの全4打席を1つのハイライト動画にまとめています。

 

 

 

以上、サイクルヒット(サイクル安打)まとめでした!