京都以外の方は「京都弁=はんなり・のほほんとしてて上品」のイメージが強いかと思いますが、実際のところ、どのような京都弁が日常会話で飛び交っているのでしょうか。
こんにちは、@mori_ichi_です。
僕は生まれも育ちも京都で、いわゆる「京都人」です。
現在は結婚して、京都市の実家から別の市(京都府)に引越してますので、「京都」に住んでいた期間は実質25年くらいになります。
以前、京都の人は京都市以外を京都と見なさない(山科区も除外される)という情報をネット上で見かけましたが、僕の周辺では山科区のみならず伏見区や南区も除外されていました。
「京都駅より南は京都じゃない」というのが、よく分からない京都人の共通認識だった気がします(該当地域の方ごめんなさい、半分以上冗談ですよ)。
さて、そんな「京都」で過ごしていて普段当たり前に使っていた言葉が、実はよそでは通じないという事も中にはあります。
今回は、『京都弁の日常会話を京都人が解説してみた』ということで、京都特有の言い回しや方言についてまとめています。
(前半の各タイトル「」内は、京都で生活していたら多分耳にするであろう、京都弁入りの日常会話のフレーズです)
目次
「サラあるから、それほかしといて」
「新しいのがあるから、それは捨てておいて」という意味です。
京都に住んでいた方なら、必ず一度くらいは日常会話でこれに近いシーンがあったはずです。
「ほかす」=「捨てる」という意味です。
大阪の方では「ほる」って言いますが、京都では「ほかす」が一般的です。
「ほかしといてー」は全て同じ音(アクセントなし)で、若干高めの音程です。
サラは皿ではなく、新品という意味です。漢字では「新」・「更」と書きます。
サラは標準語だと思うのですが(更地とか言いますし)、「ほかす」はよそでは言わないようですね。
あまりにも日常的に使う言葉なので、方言だとは考えたことすらありませんでした...。
「冷蔵庫にぎょーさん残ってたからにぬきにしたわ」
「冷蔵庫に卵がたくさん残ってたから、ゆで卵を作ったよ」という意味です。
「ぎょーさん」=「たくさん・いっぱい」
「にぬき」=「ゆで卵」の意味です。
特に年配の方(昭和初期生まれの方など)は、高確率でゆで卵のことを「にぬき」と表現します。
人によっては「ぎょーさん」が訛(なま)って「よーさん」になる人もいます(最近はあまり聞きませんが)。
「お客さん来はるからそこのきや(のいてや)!」
「お客さんがこの後来られるので、その場所から移動してよ」という意味です。
上の例文だと、親が子供に言っているような命令口調です。
「のく」=「どく」=「よける」「移動して場所をあける」みたいな意味です。
「のける」となると、物を移動させる意味になります(=「どける」)。
「〜はる」「〜しはる」は口語でよく使われる敬語で、敬うレベルはやや高め程度です。
自分より年上の人に対しては、とりあえず使っておけば間違いないです。
ただし、犬とか虫にも使ったりするので、このあたりは結構ナゾです。
もちろん、人以外に使う場合は尊敬の念はありません。ちょっと冷やかしてる感じが含まれている場合もあります。
僕の中では「〜はる」は使っておけば間違いない敬語で、「丁寧語〜謙譲語のあいだ」くらいのイメージです。
「おとふさん用意しとくしご飯よそっといて」
「豆腐のおかずは用意するので、ご飯をお椀に入れておいて」という意味です。
京都の人は食べ物をやたらと(無意味に)丁寧に呼ぶ傾向があり、いろんなものに「さん付け」したり、頭に「お」を付けたりします。
・油揚げ=「おあげさん」
・いなり寿司=「おいなりさん」
このあたりは鉄板です。笑
また、「装(よそ)う」=「ご飯や味噌汁などをお椀などに入れること」です。
「先によそうよー」「うちの分もよそっといてー」など、よく使われるフレーズです。
余談ですが「飴ちゃん」は大阪のおばちゃんの代名詞(?)でよく紹介されますが、京都の人でも普通に言います。
飴ちゃんは関西弁...なのか?
ありがとうを「おおきに」とは言わない(年配の方などは除く)
ここからは日常フレーズではなく、京都弁関連で気になったことをまとめています。
京都以外の人からたまに質問されるのが「京都人はありがとうのことを『おおきに』って言うの?」という内容。
結論から言うと、一般人はあまり言いません。日常会話ではほぼ確実に「ありがとう」です。
「おおきに」の意味を知らない京都人は皆無ですが、実際に発するのは客商売(特に観光客の相手)をしている方や、舞妓さん、あとは年配の方くらいです。
(年配の方の中には、 やんわりオブラートな(遠回しの)皮肉(笑顔)や陰口体質などの "伝統的京都色" が身に染み付いている方もいます)
そういえば高校の知り合いで、常に「おおきに〜」と発する人がいましたが、結構周囲からは白い目で見られていました。
「おおきに」のみならず、「おいでやす」や「おこしやす」も、日常会話ではまず言いません。
妙な京都人アピールは逆効果なのでご注意ください。笑
京都と大阪との、微妙な言葉の違い
京都と大阪とは隣接しているため言葉が似てますが、ところどころ微妙な違いがあります。
たとえば、「しない」を意味する言葉は「しーひん」「せーへん」の2種類があり、どちらも全く同じ意味です。
大阪の人はほぼ「せーへん」と言いますが、京都の人は「しーひん」と言うこともあります。
「来ない」を意味する言葉も「きーひん」「こーへん」の2種類があり、大阪の人はほぼ「こーへん」な気がしますが、京都の人は気分でどっちも言ったりします。
前述「〜はる」の過去形にあたる「〜はった」のアクセントも、京都と大阪とで微妙に違います。
ちなみに、京都の人は大阪の人との違いに敏感ですが、大阪の人はあんまり気にしないようです。
「そのへん全部関西でええやん」的な感じなのかもしれませんね。
(参照)京都言葉と大阪言葉の違い - akenotsuki.com(別ウィンドウで開きます)
ほかにも、日常的によく使うのに、実は京都弁でよそでは通じない言葉は多くあります。
・「あがる」=北に進む
・「さがる」=南に進む
・「こうこ(こおこ)」=たくあん
ただ、一般に紹介されている京都弁(「〜どす」とか)は、一部の限られた方(旅館の女将さんとか舞妓さんとか)しか使わないような言葉が多い気がします。
時代とともに、使われる言葉も変わってきているということですね!
以上、京都弁について、日常会話などの実態を京都人がお送りしました!