ほとんどオフ期間のない状態で、忙しく世界中を飛び回るプロテニスプレーヤーたちに、追い討ちをかけるような形で行われるドーピング検査。
マリア・シャラポワがドーピング違反で当初2年間(その後15ヶ月に軽減)の出場停止処分が下されたように、違反を犯してしまうと選手生命の危機と言っても過言ではない、相当厳しい状況に追いやられます(もちろんダメなものはダメなので厳しい処分は当然ですが)。
プロのアスリートとして活動する以上、切っても切れないドーピング問題。
巷では平昌オリンピックにロシア代表がロシア選手として出場できない件がクローズアップされています。
今回は、テニス界のドーピング検査の実態について触れています。
2014年に大活躍、錦織圭が明かしたドーピング検査内容
全米オープン2014で決勝進出を果たすなど、充実の1年となった2014年の錦織圭。
2014年年末にゲスト出演した「とんねるずのみなさんのおかげでした『新・食わず嫌い王決定戦』」の中で、自身のドーピング検査体験を明かしていました。
錦織は「(自分の)ランキングが多分あがったのもある」と前置きをしつつ、年間で10回以上のドーピング検査を受けたことを明かした。また、錦織は「一日に一時間、絶対にいる時間ていうのを(検査担当者に)挙げないといけなくて」と詳細を語った。
「絶対にいる時間」として午前6時から7時を挙げ、検査のために起こされた経験も告白した。錦織は「(担当者が)ドンドンドンって家にきて、おしっこと注射と…」と当時の慌しいようすを振り返った。
錦織はこうしたドーピング検査について「本当に厳しいとは思いますね」「(プライバシーが)全く無いですね」とコメントした。
さすがに大きな大会に出場中の期間にはドーピング検査は行われないかと思いきや、2016年にシャラポワが引っかかったドーピング検査が行われたのは全豪オープン準々決勝の試合後の1月26日。
プライバシーもさることながら、厳しいプレッシャーを抱えてプレーしている期間中であっても体を休めるヒマすらないのかもしれません...。
また、絶対にいる時間以外にも突然ドーピング検査が行われることがあります。
いわゆる抜き打ち検査で、過去には伊達公子(当時はクルム伊達公子)が甚大な被害を受けていました。
クルム伊達公子は悪質なドーピング抜き打ち検査で警察出動騒ぎに
2014年12月15日、翌日の練習に備えて22時になるまでに床に就いた伊達。
しかし22時10分頃、本人も「聞き間違いかなと思った」というインターホンらしき音が。
出てみると「アンチドーピング機構の者」で、なんと「指定している1時間ではなく指定外枠の抜き打ち」でした。
疲れていてしっかり睡眠を取らなきゃって 22時前にベッドに入っていたのに… しかもベッドに来る前におトイレも済ませていたので 再びおトイレに行くまでそんな簡単じゃない。
すでに23時を廻ってますが ベッドに行けば、係りの2人のうちの1人は 常に付いて回るし、 人の家の中をジロジロ見るので 私は好きじゃなくていつも玄関先で対応。 今も1時間以上玄関先です。
こんな時間に来てアスリートの睡眠時間を奪うって どういうこと? ほんとにいくら義務とはいえ、このシステムに頭に来る! しかも今日の担当者にも頭に来る! いくら仕事とはいえ、 しかも何を言ってもマニュアル通りのロボットみたい。
選手のスケジュールなど全く無視の、抜き打ち検査。さすがに伊達に同情せざるを得ない内容です。
調査員の失礼な言動もあって、伊達が思わず警察に通報するほどの事態に発展しました。
00:35頃 ここまでに1Lの水を飲み、試みるが60ml弱しか取れず、検査未了 90ml取れるまで待つとのこと
01:00過ぎ 拉致があかず、まだ時間がかることに加え、調査員の言動に失礼が多いため、警察に出動依頼
結局、終わったのは夜中の2時だったとのこと。翌朝からの練習はボロボロだったようで...。
彼女のブログに書かれていた会話があまりにおかしかったので、載せておきます。
調査員)継続を拒否しますか?と投げかけられる。
伊達)どういう意味ですか?と質問。
調査員)時間が時間なので継続不可能と拒否することができます。
伊達)時間が時間とはどういう意味ですか?今更、どうして時間が時間というのかわかりません。
調査員)もう日付も変わってますし、1時を廻っていますので。
伊達)誰のものさしで物を言ってるんですか?私は10時の段階ですでに寝ていましたし、11時の段階でどうしてその選択があることを言ってくれなかったんですか?
調査員)過去のことをもう言わないで前に進みませんか?
伊達)前に進むために確認してるんです。
調査員)「過去のことをもう言わないで前に進みませんか?」
日本人選手に被害者続出の「刺すだけ詐欺」 テニスのドーピング検査
まさにプライバシーなど全くないドーピング検査ですが、尿検査ではなく血液検査では別の問題が浮上しています。
それが「刺すだけ詐欺」とも言うべきもので、最近日本人選手のツイッター上で被害報告が相次いでいます。
ついさっきドーピングテストが抜き打ちで来ましたが、今回は結局二回針を刺して血を取れずに終わり
朝早くに来て痛みだけ残して帰られたら、気分がいい人なんていないでしょう。前回は神経触られ右腕3週間麻痺したし採血する人のレベルどうなってんの?鬱血してる部分触るとまじで痛いんやけど。 pic.twitter.com/A57TcVa7e8— YOSHIHITO NISHIOKA (@yoshihitotennis) 2017年11月26日
朝からドーピング検査。血液検査では針入れてぐりぐりして、また針入れてぐりぐりして…。結局血液でなくて諦めて帰っていった。ただ痛かっただけという😩
— Misaki Doi 土居美咲 (@MisakiDoiTennis) 2017年12月6日
針の刺され損...僕なんか、年1回の健康診断の採血で下手な人に当たっただけで憂鬱になるというのに...。
右腕3週間麻痺だなんて、ただごとじゃありません。これがグランドスラム開催期間中だったら、運が悪いとしか言いようがありません。
ちょっと教育するだけで最低限はこなせると思うのですが、調査員にはどういった人が選ばれているのでしょうか。
穂積絵莉のインスタストーリーでは、 奈良くるみ・尾崎里紗らで出かけたUSJ旅行の宿泊中のホテルで、奈良がドーピング検査を受けたという投稿があったそうです。
これでは夢の国に逃げ込んでも無理そうだ...。
ではドーピングネタでもう一つ。1、2ヶ月前の抜き打ち検査での事。検査員が住所を間違えてお隣のマンションの同じ部屋番号に早朝訪問。ちなみに検査員は全員外国人。不審に思った住人の方が警察に連絡。その後私の住所に警察と共に来ましたとさ。。。ちょっとした警察沙汰でした。
— Misaki Doi 土居美咲 (@MisakiDoiTennis) 2017年12月11日
土居も伊達同様、警察沙汰になっていました。
本当に心も体も休まる時間が圧倒的に足りないテニスプレーヤーたち。
しかしドーピング検査もプロとしてのキャリアの一部なので、致し方ないのかもしれません。
アンディ・マレーはドーピング違反にはとりわけ厳しい姿勢を取ることで知られていますし、過去に処分で事実上の引退に追いやられた選手に関しても「彼を追放するのはテニス界にとってプラスだ」と断言していました。
シャラポワの謹慎期間軽減措置でも、世界中で議論が行われていました。
知らずの身だったとしても、絶対に薬物に手を出してはいけません。知らないのはプロとしての責任の欠如です。
ドーピング「ダメ。ゼッタイ。」
以上、テニスのドーピング検査の実態でした!