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全米オープンテニスは大会10日目に準々決勝2試合が行われ、アンディ・マレーは錦織 圭に6-1 4-6 6-4 1-6 5-7で敗れました。

日本時間の夜中2時50分頃に始まったこの試合は、3時間58分の激闘となり、午前7時頃にようやく決着がつきました。

 

何故、錦織はマレーに勝てたのか。

 

試合の大まかな解説と、最後にこのような結果になった理由をまとめています。

マレーが試合開始35分で第1セットを先取

マレーサーブで始まったこの試合、開始と同時に勢いがあったのは錦織の方でした。

マレーのセカンドサーブに対して攻撃的なリターンを放ち、この試合で鍵となるフォアの逆クロスで崩したのがはじめのポイントでした。

2本目には早速錦織のバックのダウンザラインが炸裂、3連続ポイントで早速トリプルブレイクポイント到来です。

しかし、この逆境を凌ぐと、最後はセンターへのサービスエースでキープ。

 

その後、確率・プレイスメント重視の錦織サーブに少し手こずるも、セカンドサーブに対して恐ろしいほどの強打のリターンで、錦織を攻め立てます

第4ゲーム錦織サーブをブレイクしてからは、ラリーではマレーがやや優勢、サーブは錦織のファーストの確率が下がりだして一方的な展開に。

最後はマレーのワイドへのサーブがエースとなり、第1セットを6-1で取りました。ここまでの時間は35分でした。

第2セットは錦織が復調、マレーサーブに陰り

第1セットが一方的になり、リオ五輪の完敗が頭をよぎったかと思いますが、錦織は切り替えに成功します。

序盤から第1セットになかったネットプレーやドロップショットを選択し、少しずつ復調していきます。

第4ゲームで突然の降雨による、約4分の試合中断がありました。

この雨は錦織にとって恵みの雨ではありませんでした。

再開後の第5ゲームでまたも先にマレーにブレイクを許してしまいます。

 

しかし、ここで気落ちせず、続く第6ゲームでマレーのファーストサーブが落ちている隙をついてすぐさまブレイクバック。

両者とも多彩なラリー展開で持ち味を発揮し合いながら一進一退の攻防が続きます。

 

第7ゲームで2度目の降雨。これは錦織にとって恵みの雨で、この試合のターニングポイントとなりました。

中断中にはマイケル・チャンコーチをはじめ陣営と作戦について話しあったようで、結果的に再開後錦織は波に乗っていくことになります。

屋根が閉まってインドアになってからも、マレーのファーストサーブは殆ど入りませんでした。

対する錦織は第9ゲームをラブゲームキープするなどサーブの調子が上向きに。

結局第10ゲーム、マレーサーブはニューボールでしたが、ベースライン内側に入ってくる錦織のストロークに押され、ブレイクを許して4-6でセットを落としました。

第3セットは両者グダグダな時間帯も多かったがマレーに軍配

第1ゲーム錦織サーブをブレイクしたマレーですが、ストロークでは依然として押され気味な上、集中力が低下していてイージーなミスも目立ちます。

ファーストサーブの入りも相変わらず低調で、第2ゲームをすぐさまブレイクバックされます。

 

第3ゲームでは、ボール3個分はアウトであろう打球を、ゲームが終わってベンチに戻ってからチャレンジするという奇行ぶりを発揮(笑)

おまけに自らジェスチャーでアウトの幅を主審に見せながらのチャレンジです。意味が分かりません(笑)

もちろん判定通りアウトでチャレンジ失敗(ある意味成功?)、明らかに集中できていません...。

 

ファーストサーブの入りも悪くなり、ラリーでは明らかに反応が鈍く、また繋ぐだけになってきていました。ただ、要所ではエースが飛び出すのと、錦織も攻めの姿勢は貫くのですが精度がイマイチなのに助けられ、何とかキープ。

急にカモンと声を出して自らを鼓舞し出したのもこのあたりからです。おそらく自分でも集中力が下がってきているのに気付いていたのだと思われます。

第7ゲームでマレーがブレイクに成功するも、第8ゲームでは錦織にスーパーショットも飛び出しすぐさまブレイクバック。

第9ゲームは逆に錦織の集中力が低下し、主導権はあるもののアンフォーストエラーを連発。このゲームをブレイクされ落とすと、第10ゲームはマレーがキープし、第3セットは6-4でマレーが取りました。

 

正直観戦していて、マレーはこのセットは取れないと思って見ていました。

ただのシコラーと化していたマレーは、錦織のミス頼みの消極的なラリーに終始します。ファーストサーブの確率もさほど高くありません。

幸運なことに、終盤に錦織側でラリーのミスが相次いだおかげで、セットを取れた形でした。

 

明らかにマレーの集中力は低下し、パフォーマンスも落ちていました。

試合序盤から一貫していた錦織のセカンドサーブに対するプレッシャーも弱まっています。

逆に、錦織はファーストサーブの確率向上と、ラリーで主導権を奪っている中で色々なショットを試しながら攻めの姿勢を意識しているようでした。

 

第4セットに入ると、「除夜の鐘」事件で両者の集中力の差はより顕著になります。

第4セット「除夜の鐘」事件でマレーが本格的にグダグダ化

第4セットに入ってもはじめの2ゲームは錦織が攻めてマレーがつなぐ展開。

しかし、第3ゲーム錦織サーブでは、マレーが少しずつ攻めの姿勢を復活させ、15-40とダブルブレイクポイントを迎えます。

1本はワイドサーブからの良い組み立てで凌がれますが、まだ1本あります。

錦織のファーストサーブは深めに入りますが、何とか返球したマレーの打球も深めに入り、打ち合いの中で先に仕掛けたのはマレー。

ベースラインからバックのダウンザラインが深めの良いコースに飛ぶ、その少し前のタイミングで、悪夢の「除夜の鐘(ボーンという騒音)」が場内に鳴り響きました。

 

主審曰く、実はこの試合ではそれまでに3回「除夜の鐘」が鳴っていたそうです。ただ、音量が小さくてプレーに支障をきたさなかったので止めなかったとのこと。

マレーは当然納得いきません。「何故プレーを止めた」と、結局ブレイクできずにゲームをキープされた直後に主審に抗議するも認められる訳がありません。

 

ここから、急速にマレーのやる気がなくなっていきます。

もともと復調の兆しがあった中での「除夜の鐘」だっただけに、マレーにとっては非常に悪いタイミングでしたし、イライラだけが残りました。

錦織は怒りくるうマレーとは対照的にとても冷静で、ショットの精度も徐々に上がっていきました。

 

その結果、第5セット途中まで、7ゲーム連続で落とすという醜態を晒すことになります。

 

第6ゲームマレーサーブでは、30-0までいきながらブレイクされてしまいます。

30-0からネットに出たマレーは、少し前からマレーの周囲を飛び回っていた黄色い蝶々(蛾?)が目に入ってバックハンドをイージーミス。(この蝶々はファイナルセット前にマレーに見つかってしまい退治され、ボールパーソンが回収しました)

30-15となってサーブに入る前にはまたも「除夜の鐘」。

マレーにとってはタイミング悪くイライラすることが立て続けに起きてしまいます。

 

第4セットは最初の「除夜の鐘」以降、一方的な展開で1-6で落としました。

メンタル回復の兆しも全くなく、フルセットになると異常なまでに強い錦織が相手なので、マレーファンですが諦めムードになっていました。

↑蝶々+除夜の鐘のダブルパンチをくらった第6ゲームがデュースになった所でツイッターに投稿したつぶやきです(笑)

第5セットはマレーが意地を見せるもサーブの不調に泣く

ネガティブなつぶやきの予想通り、気付けばマレーから見て0-2になっていた最終セット。

その後、マレーが吹っ切れて意地を見せ、お互い体力的にもギリギリの中で一進一退の攻防。両者ともサーブの確率は高くない状態です。

ブレイク合戦となり、どちらが勝つのか全く分からない展開となります。

第4ゲームでは錦織がブレイクされ、思わずラケットを投げてしまうシーンも。

 

ただ、厳しい中でも、そこはフルセットでの戦績が歴代No.1と言っても良い錦織。

要所でドロップショットも読みも冴え渡り、マレーにペースを持っていかせません。

第5ゲームではマレーが痛恨のダブルフォルトで、錦織がこのチャンスを逃さずブレイク成功。

 

そのままゲームは進み、ゲームカウント4-3錦織サーブが40-0となったところで、勝利を意識したのか途端にミスが出始め、何とこのゲームを落としてしまいますが、錦織はすぐに持ち直しました。

5-5で迎えたマレーのサービスゲームでまたもダブルフォルト。錦織はこのチャンスもしっかりとモノにし、最後はマレーの返球に飛び付いてポイントを取るスーパープレー。

 

最後まで攻めの姿勢を貫いた錦織が、結局7-5でセットを取り、試合を終わらせました。

試合の行方を左右した雨による中断+α

降雨による中断で、錦織は作戦を変更してきました。

マイケル・チャンコーチのファインプレーです。

少なくとも、マレーのサーブの調子が落ちてきていたので、思い切ってリターンを攻撃的にいくように指示が出ていたはずです。

あとは、ラリーで主導権を握りつつあったので、今日自信のあるショットをどんどん打っていこうという指示だったのではないでしょうか。中断以降、ドロップショットもフォアの逆クロスも一気に増えました。

球種をフラットに限定せず、とりあえずファーストサーブの確率を上げる指示もあったかもしれません。第3セット以降、錦織のファーストサーブは確率が上がり、ポインツウォンも向上しました。

 

マレーは中断前からサーブが低迷していましたが、屋根が閉まってストロークも低迷し始めます。

この原因には、錦織の作戦変更が大きな影響を及ぼしたはずです。

それまでと同じように打っていても、簡単にはポイントが奪えなくなっていましたし、錦織がベースライン内側に入ってきていたので押されてしまいます。

それぞれの立ち位置が、そのままメンタルの優位性に当てはまるかのように、マレーは消極的なプレーになり、混乱していたのか意図のないラリーが多くなってしまいました。

 

マレーも世界ランキング2位の選手で、今シーズンは絶好調です。自らを鼓舞したり、作戦を何とか練って立て直そうとはしていました。

が、騒音や蝶々に妨害される不運が重なり、うまくいきませんでした。

マレーの不調の原因は外野ではなく錦織

マレーの調子が上がらなかった理由に、騒音や蝶々は当然挙げられます。

しかし、作戦変更し良いプレーを見せた錦織のプレッシャーにやられたのが一番大きな理由です。

 

マレーは、若かりし頃によく指摘されていたメンタルの弱さ、つまり「弱気の虫」と「集中力散漫なプレー」が出てしまった、残念な試合でした。

 

そうさせた錦織のプレーは本当に見事でした。

勝者に相応しいパフォーマンスを見せていたのは、間違いなく錦織でした。

 

 

次は準決勝で、ファン・マルティン・デルポトロを破ったスタニスラス・バブリンカと対戦します。

バブリンカは2年前に全米オープンでフルセットの末破っていますし、今年のロジャーズ・カップでもストレートで勝利しています。

対戦成績は錦織から見て2勝3敗ですが、悪いイメージはないでしょう。

ただ、ムラっ気のあるバブリンカなので、調子が良いと手がつけられません。

試合の行方は当日にならないと分かりませんが、とりあえず疲労を回復させ良い状態で挑んで欲しいものです。

 

マレー、お疲れ様でした。

全米オープンは残念でしたが、全米前の直近7大会で全て決勝進出という偉業は決して色褪せません。

ゆっくり休んで、デビスカップで元気な姿を見せてください。

 

全米オープンは残すところ3試合。

またもノバク・ジョコビッチが優勝してしまうのか、誰が止めるのか。

まだまだ注目です!