チャイナオープン(中国・北京)が木下グループ・ジャパンオープン(日本・東京)よりも人気な理由についてまとめています。
毎年9月後半から10月中頃にかけて、3週間ほど行われるテニスのアジアツアー(アジアン・スイング)。
最終の上海マスターズの前の1週間、中国と日本とでATP500の大会が同時に行われます。
それが、北京開催の「チャイナオープン」と東京開催の「木下グループ・ジャパンオープン」です。
ジャパン・オープンは錦織圭をはじめ日本人が多く参加する大会で、ATP500というだけあって実力あるプレーヤーが多く来日します。
しかし、近年BIG4をはじめトッププレーヤーたちがこぞって参加してきたのはチャイナオープンです。
かつて日本に来ていた選手が、中国に変更してしまう例も多くあります。
今回は、チャイナオープンがジャパンオープンよりも魅力的な点を3つ挙げて、人気の理由を解説します(東京の良いところも最後に触れます)。
賞金額が北京オープンとジャパンオープンでは大差
どちらもATP500の大会なので、優勝すれば500ポイント、準優勝は300ポイント、以下180、90、一回勝てば45ポイントが獲得できます。
獲得ポイントは同じですが、獲得賞金となると話は別です。
両大会の賞金総額を比較すると、次のようになります(2016年データ)。
チャイナオープン=$4,164,780(約4億2,000万円)
楽天ジャパンオープン=$1,506,835(約1億6,000万円)
賞金総額に倍以上の開きがあります。
優勝賞金も当然違っています。
チャイナオープン=$663,575(約6,700万円)
楽天ジャパンオープン=$310,330(約3,200万円)
この差は年々開いてきており、今後もますます差は開く一方だと思われます...。
北京はテニスコート関連設備が充実
ジャパンオープンは、有明コロシアムと有明テニスの森公園で行われます。
有明コロシアムは収容人数も多く立派なスタジアムですが、有明テニスの森公園は普通の屋外ハードコートです。
対するチャイナオープンは、実は2009年から北京オリンピックのテニス競技が行われた場所を使って開催されています。
そのため、有明コロシアムと同等かそれ以上の設備が、センターコートと1番コート、2番コートと3つも存在します。
ただの案内図と夜のキレイな写真との比較のせいで、余計に格差が顕著になっていますが、やはり気持ち良くプレーしたいと考える選手は多いと思います。
どう見ても、設備面ではチャイナオープンの方が優れています。
北京は次週の上海マスターズと同じ中国国内
冒頭で述べた通り、それぞれのATP500の大会が終わった翌日からすぐに上海マスターズが開催されます。
2週間中国に滞在するか、1週間ごとに日本・中国と滞在するか。
真相は不明ですが、欧米の方々からすればどちらも異文化、それなら同一国で済ませてしまいたいという思いもあるのかもしれません。
前週の中国2ヶ所で行われるATP250も合わせると、アジアツアー中ずっと中国に滞在しながら3大会に出場することも可能です。
ちなみに、北京の方が東京よりも上海にアクセスしやすいのかと考えましたが、移動に関してはあまり変わりませんでした。
上海までの移動時間はどちらも飛行機だと1時間ほどしか変わりません(北京からが2時間ちょっと、東京からは3時間弱)。
また、かつてマスターズ・カップ(※)が4年間(2005年〜2008年)開催されたこともあり、中国の方が大きな大会を成功させてきた実績があります。
(※)マスターズ・カップは最終戦の以前の名称で、今で言う「ATPファイナルズ」にあたります。テニスの最終戦は、大会名と開催地が数年〜10数年に一度変更されて続いています。
運営に関するノウハウが、日本よりも上なのかもしれません。
ジャパンオープンの長所
このままだとますますチャイナオープンへの流出が避けられない事態となりそうですが、近年BIG4こそ来ていないものの日本にも実力者が勢揃いしています。
ジャパンオープンにも、チャイナオープンに負けない長所があります。
それは、皮肉なことにチャイナオープンにBIG4らトッププレーヤーが固まるので、ジャパンオープンの方が上位進出に望みが持てる点です。
決勝進出となると獲得ポイントも300ポイント以上と大きくなります。
チャイナオープンでは高確率で準決勝までにBIG4との対戦が控えていますが、ジャパンオープンだとBIG4との対戦はありません。
つまり、ランキング上昇やツアーファイナル出場に向けてポイントを稼ぎたい選手にとって、ジャパンオープンは魅力的な大会と言えます。
和食・アニメ・漫画など日本が世界に誇る文化も魅力の一つです。
かつてアンディ・マレーが来日していた時は、決まって「寿司が楽しみだ」とつぶやいていたものです。どうして来なくなってしまったのか...。
2016年には、ガエル・モンフィスも日本のアニメ・漫画が好きだから本場に来られて嬉しいという内容の発言をしていました(多少のリップサービスがあるとは思いますが)。
近年だとニック・キリオスのポケモン聖地訪問、テイラー・フリッツの豚骨ラーメン通い(一蘭)などが有名ですね。
気候も、どちらかというと日本の方が過ごしやすいです。
この時期の北京は最低気温が一桁まで落ち込むので、朝晩は結構寒いはずです。
翌週の上海と気候が似ているのは東京の方なので、気候面でも優位なのはジャパンオープンです。
また、東京のが空気がキレイなのも見逃せないポイントです(北京は大気汚染がより深刻)。
以上、長所をそれぞれ挙げてみました。
やはりチャイナオープンの方が賞金・設備面でかなり優位に立っていますし、人気の理由もそれらにあるでしょう。
とはいえ、以前は毎年のようにマレーやラファエル・ナダルが来日していましたし、全米覇者のスタン・バブリンカやフアン・マルティン・デルポトロも来日の頻度が多めです。
BIG4のネームバリューは大きいとはいえ、明らかに選手の質が劣っているわけではありません(むしろ良い選手が多く来ている印象さえ受けます)。
根拠はありませんが、来年以降にポイント志向でBIG4が来日してくれるかもしれませんし、またビッグネームの来日を期待しましょう。
その前に、BIG4が衰えていないことを祈るばかりです...。
以上、チャイナオープン(北京)がジャパンオープン(東京)よりも人気な理由についてでした!