フェデラー優勝で終わった全豪オープンテニス2018。
36歳5ヶ月でのグランドスラム優勝という常軌を逸した功績にはかける言葉が見当たりませんが...快調なスタートを許しながらも、中盤以降に吹っ切れた強打から打開策を見いだしてフルセットにまでもつれさせたチリッチもお見事でした。ダテに3度目のGS決勝進出ではありませんね。
「ストロークはフェデラー有利」と予想していましたが、途中からはそんなことありませんでした。超高速ラリーの中でのチリッチの驚異の打ち分け技術...本当に恐れ入りました。
どちらが勝っても納得の内容だったと思います。良いものを観させていただきました。
決着がまたチャレンジwww
しかも今年は喜んでからのチャレンジ、チリッチ、最後まで会場を沸かせたね!
フェデラーおめでとう🎉
散りッチお疲れ様🍵散り…— mori_ichi_ (@mori_ichi_) 2018年1月28日
あれだけの熱戦でありながら試合時間が3時間3分と案外短いのも興味深いです。
ハイライト動画にも、超高速ラリーを制するチリッチが収録されています。
ついでに、公式アカウントが編集したフェデラーの全豪スーパープレー集(36選 - 今年のはありませんが)も見つけたので載せておきます。懐かしの緑コート上で走り回るフェデラーも見られますよ。
ざっくり全豪2018の総括
全豪2018は長期離脱組やネクストジェン、そしてチリッチ・ディミトロフら間の世代に加えて、息の長いベテラン勢らがひしめき合うカオスな大会でしたが、ひときわ存在感を放っていたのはチョン、エドマンド、サングレンら若手ノーシード勢でしょう。
今年で最後となる32シードのグランドスラムですが、彼らが倒したシードは上位シードや実力者ばかり。
昨年あたりからテニス界は過渡期に差し掛かっていると言われていますが、トップの世代交代こそゆっくりなものの、じわりじわりと次の世代の波が押し寄せているのは事実です。
惜しくも彼らによるビッグタイトル獲得とはなりませんでしたが、今年はより一層バラエティ豊かなツアー優勝者が輩出されることでしょう。その中に日本勢も加われるといいですね。
とか言っといて、結局ジョコ・マレーあたりが完全復活+進化してしまって、より高さを増してそびえ立つBIG4+αの山(壁?)があったりして...。
全豪2018で気になったこと その1「新ルールによる罰則」
ここからは全豪2018で気になったことを2つばかり。
1つ目は「新ルールによる罰則」、1回戦敗退を喫したミーシャ・ズベレフへの罰金措置です。
昨年マレーを破ってベスト8進出を果たしたズベレフ兄。第32シードとして出場したものの、4強入りしたチョンを相手に2-6 1-4となったところで無念のリタイア。新ルールにより、1回戦出場の賞金とほぼ同額の罰金45,000ドル(500万円弱)が課されました。
新ルールはファースト・ラウンド・パフォーマンスという名前で制定されており、次のようなものです。
『ファースト・ラウンド・パフォーマンス』と呼ばれるこのルールでは、プレーヤーは、もし試合でプロの基準に見合うパフォーマンスをしなかった場合に、最大で1回戦の賞金に相当する罰金を徴収されかねない。試合を最後まで行わないこともまた、トーナメント・レフェリーによって考慮される可能性のある要素だった。
しかし故障した選手が、大会が開始する前に棄権した場合、選手には1回戦の賞金の半額を受け取る資格がある。その場合に彼らが抜けた穴を埋めるラッキールーザー(予選決勝で敗れた者のひとり)は、1回戦の賞金の残りの半分と、そこから試合に勝つことによって積み重ね得る賞金を受け取ることができる。
確かに、昨年のウィンブルドンでのフェデラー・ジョコビッチの対戦相手の棄権はヒドいものでした。センターコートに予定されていた試合が2試合続けて45分未満で終了したとなれば、興行面を考えても大問題ですし、観客らの不満の声もすごかったでしょう。
しかし、今回のズベレフ兄への罰金は、ルール適用の範囲設定の難しさを浮き彫りにしたと思います。
前年獲得の360ポイントは、多くの選手にとって小さくない数字です。よほどの事情でない限り出場したいと考えるのは自然なこと。
今年に入ってからブリスベン国際とシドニーの両方に出場していたことから、ポイントディフェンドへの意志は強かったのではないでしょうか。
また、シードを獲得していたので1回戦の相手がノーシードだというのも、挑戦なくして-360ポイントという事態を受け入れがたい状況だったのかもしれません。たとえ相手がネクストジェンファイナルを制したチョンだったとしても...。
2回勝てば、グランドスラムでの兄弟対決の可能性もあった今回のズベレフ兄のドロー。
僕は心情面では「棄権するなら欠場しろ」と責められないです。情状酌量の余地ありなのでは?
新ルールのことも、途中棄権の原因も正確に把握できていないので、もしかしたら的外れな見解なのかもしれませんが...。
例えば、実際に観戦した人々にアンケートして、「プロの基準に見合うパフォーマンスだったか」集計して決めるとかどうですか?←
今回はズベレフ兄1人しか適用対象がいなかったため、選手間での比較もできませんでした。
今後「ファースト・ラウンド・パフォーマンス」がどのように適用されていくのか注目していきたいと思います。
全豪2018で気になったこと その2「ヒートポリシー」
2つ目はヒートポリシーについて。
コート上が60度を超える灼熱地獄であっても、ポリシーが適用されずプレー続行だった日もあって、内外野問わず疑問の声が運営側に投げかけられていた今大会。
決勝戦の試合が「ヒートポリシー適用によって屋根を閉めたインドア状態」で行われたことで、さすがにおかしいと感じました。
2015年1月19日にオーストラリア・メルボルンで開幕する「全豪オープン」(グランドスラム/ハード)。
前回大会では熱波に襲われ、選手たちが危険な状態におかれたことから、大会主催者側は2015年大会ではエクストリーム・ヒート・ポリシーの適用方法を変更すると発表した。
トーナメント・ディレクターのクレイグ・ティリー氏は、気温が摂氏40度、あるいはWet Bulb Global Temperature(気温、湿度、風速などを加味した体感気温)で32.5度を上回る気象予報が発表された場合、それを考慮すると話している。
この引用は2014年のものです。2014年1月に行われた全豪オープンでは40度を超える酷暑日が多かったにもかかわらず、ヒートポリシーはほとんど適用されなかった問題を受け、改定された時のニュースです。
今大会もほとんど適用されていませんでしたね...気温よりもコート上の体感温度や、日射時間などを考慮に入れた方が良い気がするのですが、素人考えでしょうか。設定温度の基準を下げるのも一つの手かと思います。
決勝戦を戦ったフェデラーは試合開始の30分前に、ナイトマッチなのにヒートポリシーが適用されると聞いて驚いたといいます。
どういう経緯で適用に至ったんでしょう。決勝戦だから快適な環境でプレーしてほしいとの想いですか?
試合中にフラついたり、熱中症のような感じで苦しんでいた選手を何人も見ました。そちらでも適用して欲しかったですし、来年からはもう少しクリアな適用基準を見せてほしいものです。
決してフェデラーの優勝に水を差すつもりはないのですが、なんだかモヤっとしたものが残ってしまいました。
いっそ、コート上でのプレーに影響しない程度にミストを吹きかけるとかどうですか?これが上手い水の差し方...
無い頭を使って疲れたので、このあたりで失礼します...。
以上、@mori_ichi_でした!