未曾有の大スランプ中のアンディ・マレー。
ローマ・マスターズ(BNLイタリア国際)でも初戦敗退を喫し、これで2017年クレーコート・シーズンの戦績は以下のようになっています。
モンテカルロ・マスターズ:3回戦敗退
バルセロナ・オープン:ベスト4
マドリード・オープン:3回戦敗退
ローマ・マスターズ:初戦(2回戦)敗退
バルセロナを除くマスターズ1000の3大会で、いずれもベスト8を前に敗退…さすがに気がかりです。
今回は、2回戦ファビオ・フォニーニ戦の総括です。
何としても勝ち上がりたかったローマ・マスターズ
初戦の相手は、地元イタリアのランキング最上位選手であるフォニーニ(29位)。
グランドスラムであればシードが付く位置にいる選手で、かなりの難敵です。
先日ドローをチェックした際に目眩がしそうになると表現しましたが、マレーにとってローマ・マスターズ2017は考えうる中でもかなり悪いドローです。
試合前には、ロジャー・フェデラーの全仏オープン欠場が発表されました。
芝のスペシャリストであるフェデラーが、クレーを全休してまで芝〜北米ハードシーズン以降に備えるということです。
これはマレーにとって相当なプレッシャーです(試合前の時点で本人の耳に届いていたかは不明ですが)。
クレーの失効ポイントを出来るだけ減らしたい中での、大事な初戦でした。
また、マレーにとっては30歳になってからの初戦でもあり、良いスタートが切りたいところでしたが...。
地元の大歓声も力に、フォニーニが1位を圧倒
選手入場の時点でも、早くも地元選手ひいきの声援が飛び交う超アウェーな中での試合。
第1ゲーム、マレーサーブはファーストサーブこそ入るものの、ストロークが全体的に浅く、フォニーニに攻め込まれてしまいます。
ロングラリーの末、見事なドロップショットを決めたフォニーニがいきなりブレイクの上々スタート、観客のボルテージが上がりアウェー感に拍車がかかります。
フォニーニの角度をつけたフォアハンドに手を焼き、第3ゲームでも続けてブレイクを許してしまう苦しい展開。
第5ゲームではポイント先行し、ようやく初キープで1-4。
マレーの集中力が徐々に上がってきていますが、フォニーニの集中が切れず突破口が見出せません。
第6ゲームで初めてブレイクポイントを握るも、コート内に入って強烈なストロークを打ち込んでくるフォニーニに屈してブレイクバックならず。
最後はフォニーニの完璧なフォアハンドウィナー(逆クロス)が決まり、2-6とセット先行されます。
第2セット序盤、マレーのストロークが徐々に深くなってきて、フォニーニにミスが出始めます。
フォニーニの強烈なフォアハンドストロークを封じるべく、バック側に強めのスピンを集めてリズムを崩す形が見えはじめていました。
これならブレイクも時間の問題...と思いきや、今度はファーストサーブが入らなくなるマレー。
第3ゲーム、不運なコードボールもあってブレイクチャンスを握られると、観客らは大声で大合唱。
異様な雰囲気の中、マレーのバックダウンザラインがサイドアウトになってしまい、またも先にブレイクされてしまいました...。
第5ゲームでもファーストサーブが入らないマレー、とことん強打を貫いてきたフォニーニが突然ドロップショットを多用しはじめたのもあって、主導権を握れずにこのセット2度目のブレイク...。
第6ゲームは始めの2ポイントをダブルフォルトで獲得するも、ドロップウィナーを2本決められチャンスをものにできず。
結局1度はサービング・フォー・ザ・マッチを凌いだものの、最後までストロークの冴えたフォニーニに逃げ切られ、2-6 4-6で試合終了となりました。
【マレー VS フォニーニのハイライト動画】
悔やまれる第2セットのサーブの出来
第1セットは、フォニーニのファーストサーブが73%の確率で入り、ストロークも絶好調。
マレーの調子が良かったとしても、優位に立つのは難しかったと思います。
ノーチャンスと言ってもいいくらいの、圧巻のパフォーマンスでした。
第2セット、フォニーニのストロークに荒さが出た時間帯にマレーのサーブが低調(第2セットは41%)と、歯車が上手く噛み合わなかったのが悔やまれます...。
ただ、終盤のドロップショット多用は、見事なショットセレクションでした。
マレーが追うことすら出来なかったドロップが多く、いかに意表を突けていたかが分かります(もちろんもう少し追って欲しかったんですが...)。
フォニーニは、先のマドリード・オープン2回戦でラファエル・ナダルを後一歩のところまで追い詰めた(7-6(7-3) 3-6 6-4でナダルが辛勝)ように、調子が良いと大物食いをしかねない爆発力がウリの選手です。
その爆発力を、不調マレーでは止めることが出来ませんでした。
敗戦は残念ですが、マレーに勝った自信を胸に、勝ち上がってください。
...と思ったら次の試合、アレクサンダー・ズベレフに3-6 3-6で敗れあっさり3回戦敗退。
良くも悪くもフォニーニらしさ全開のローマ・マスターズでした。
ちなみに、今年クレーコートでナダルからセットを奪ったのは、フォニーニの他にはモンテカルロでのカイル・エドマンドしかいません...。
さて、ここから最近のマレーの不調について、原因や傾向を分析しつつ解説していこうとしていましたが...
あまりに長くなりそうだったので、次の記事に持ち越しとします!
Murray: I can't move. I cannot move!
Fognini: pic.twitter.com/3As6QDf9Yq— Pedro Lavandoski (@plavandoski) 2017年5月17日
観戦中は確認出来ませんでしたが、フォニーニ戦の途中で "I can't move. I cannot move!" と陣営に対して叫んでいたようです。
こんな悲しいNo.1の姿をこれ以上は見たくありません...。
本人はコーチのイワン・レンドルと合流して気分一新し、全仏までの10日間を充実させることに集中している様子です。
辛い時間が続きますが、ローランギャロスでは良いパフォーマンスが戻ることを祈って...
Let's Go Andy!!