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「テニスのW杯」と表現されるデビスカップが2016年も開幕し、ほぼマレー家 VS 日本が行われました。錦織はシングルス第3試合でマレーと対戦。

結果は7-5 7(8)-6(6) 3-6 4-6 6-3の接戦でしたが、
これで錦織から見て対戦成績は1勝6敗となりました。

対マレーで唯一の勝利は、2014年ツアーファイナルの予選ブロック。

1勝は2014年ツアーファイナルのラウンドロビンで6-4 6-4での勝利。

しかし、2014年のマレーは年末に向けての猛チャージでギリギリツアーファイナルに出場はできたものの、年末ランキングは6位。

前年秋にした腰手術の影響で、不調に苦しんだシーズンでした。

 

なので、健康状態のマレー相手にはまだ一度も勝てていないことになります。

(2016年10月追記)全米オープン2016準々決勝で、錦織がマレーを破り2勝目をあげました。

 

勝てない理由には以下の3つの点を挙げます。

1.プレースタイルが似ているストロークの相性。

安定した粘り強いストローク、積極的なリターンショット、意表をつくドロップショット、強力なバックハンド...。

2人のストロークには共通点が多くあります。

調子の波はあれどストロークはほぼ互角か、リーチの長さの差と異常ともいえるフットワークを加味し、ややマレー優勢と見ます。

ストロークでリズムを作って乗っていくのが錦織のスタイルですが、マレー相手だとストロークで圧倒するのは至難の技です。

錦織にとってマレーは「ストロークで簡単にポイントが取れない相手」なので、やりづらくて相性の悪い相手です。

2.サーブの威力・精度・レパートリーの差。

パワーアップしているとはいえ、錦織の物足りない点と言われて久しいサーブ。

特にセカンドサーブを叩かれる場面を多く目にします。

マレーは、世界でもトップクラスにリターンが上手く(錦織もですが)、特に相手セカンドサーブの際のブロックリターンは強烈です。ロジャー・フェデラーのセイバー(SABR:フェデラーの技で、バウンド直後に返球してネットへ詰める超攻撃的リターン)ほどではありませんが、ライジングで返球するので相手に時間を与えません。

そして何といっても、マレーには最速220km/hを超すファーストサーブがあります。ワイドへ切れていく180km/h弱のスライスサーブも嫌らしいです。

1stの確率は決して高くないのですが(40%台とかザラ)、苦しい場面でストローク無しでポイントが取れるサーブは非常に魅力です。

 

今回の対戦でも、エースの数が錦織5・マレー10、ダブルフォルトが錦織7・マレー3でした。

サーブの出来は試合の行方を大きく左右するので、やはりサーブ力の差は大きいと言えます。

3.大事な場面での集中力も含めた、メンタルの差。

オリンピックやグランドスラムを制しているマレーのメンタルは素晴らしいです。(と言ってもBIG4の中では一番試合中に集中が切れやすい選手ですが)

今回は錦織本人が、「もう少し集中力が続けば勝てた」と言っていたようです。

その、もう少しというところで切れてしまう差が大事なポイントでの差に繋がり、試合の結果に繋がります。

ランキングが上のディフェンス重視タイプを攻略できない。

ランキングが上だから勝てなくても仕方がない気もしますが...。

錦織は特にディフェンス重視タイプに勝てていません。

記憶が正しければ、全米準決勝でジョコビッチを破って以来、勝利がないはずです。(最近ナダルには勝ってますが、彼は昔のように力のあるストロークが打てていないのでここでは除外します。)

攻め続けないと勝てない、でも攻め続けるとアンフォーストエラーが増える。

集中力も持続するのは困難、となると中々厳しいのが現実です。

錦織がランキング下の選手相手に、8割程度のしのぎのストロークで勝つのと同様に、ジョコビッチ・マレーにも勝たれているという印象です。

大事な場面でギアを上げてきて、大事なポイントを奪われています。

 

錦織のストロークの攻撃力は、世界一なんじゃないかと思う試合もあります。

その攻撃力がマレー相手に出せると、勝機は見えてくるのですが、
どこに打っても甘くないコースに返球してくるように感じるはずなのでメンタルがボディブローのようにやられます。

あと個人的には、マレー特有の「つなぎのダウンザライン」にやりづらさを感じているのかもと考えています。

つなぎのダウンザラインは、あえて攻めさせてカウンターで形勢を逆転させるマレーテニスの真骨頂です。

具体的には、角度を付けづらいコースへ配球し、相手に自身のフットワークの良さを意識させてアンフォーストエラーを誘発する戦術で、相手の返球が甘い場合にはカウンターや速攻で一気にポイントを奪います。

 

とはいえ、今回の対戦は完全アウェーの中で、錦織から見てトータルポイント173-179なので、実力的にはほぼ互角と言えます。(妻のキム・シアーズさんの出産に立ち会って、産休明けだったこともありますが...)

daviscup2016

マレーが割と勝ち越しているので図に乗って「錦織がマレーに勝てない理由」なんて大きく出ましたが、今後はよりパワーアップした錦織にカモにされる恐れも十分にあります...。

そうならないよう祈ります。錦織にはジョコビッチキラーになって欲しいです。

 

ということで、2人とも今後ますますの活躍に期待です!

 

【錦織 VS マレーのハイライト動画】

 

(追記)

全米オープン2016準々決勝で、錦織がマレーを破りました。

何故錦織がマレーに勝てたのかはこちらで詳しくまとめています。

(追記)もはやラリーは錦織優位、差はフィジカル面

2016年11月17日、追記です。

この日は、ツアーファイナルのラウンドロビンで両者の対戦があった日です。

 

試合中、ラリーで主導権を握っていたのは、まぎれもなく錦織の方です。

もはやストロークは錦織が勝っていると言ってもいいと思います。それくらい圧倒していました。

 

しかしマレーの守備力が異常なので、短いポイントで決めきるのは簡単ではありません。

どうしても1ポイントを取るのに必要なエネルギーは多くなりがちです。

 

その結果、体力勝負になってしまうと、超人のマレーには到底及びません。

世界ランキング1位にのぼりつめたマレーの1番の武器は、そのフィジカル面(体力面・故障の少なさを指しています)の強さです(2番目にはコートリカバリー能力・フットワークを挙げます)。

 

行き着くところ、フィジカルの差こそがトップに勝てない「あと一歩」の正体ではないでしょうか。

これが克服された時、マスターズやグランドスラムのタイトルは錦織の手中にあるでしょう。