全豪オープンテニス2019は7日目に、第2シードのフェデラーを第14シードのチチパスが破る番狂わせが起こりました。
...と書くとチチパスが馴染みの薄いプレーヤーのような感じですが、決してそうではありません。
むしろ、チチパスは異常なまでの成長曲線を描いてきた "Next Gen" の代表格の一人。
優勝候補だったフェデラーが4回戦で敗退したという事実は驚きではあるものの、その相手がチチパスだったことに別段驚きはありません。
チチパスのフェデラー対策が奏功?
僕(@mori_ichi_)は試合開始からずっと見ていたわけではなく、第1セット終盤から見始めましたが、一気に引き込まれました。
チチパス vs フェデラーが面白すぎて妻に怒られる(配膳放棄
— mori_ichi_ (@mori_ichi_) 2019年1月20日
フェデラーと真っ向から打ち合うチチパス。
ほとんどの選手が一瞬の隙を突かれて速攻でポイントを奪われたりする中で、チチパスは果敢に仕掛けます。
とにかくスピンを効かせた高速ストロークで先手を取って押し込んでいて、その姿勢に感銘を受けました。
印象に残ったのはバック攻めと緩急のついたストローク。
フェデラーのバックを攻めるのは、ナダルを筆頭に打倒フェデラーに燃えるライバルたちが編み出して長年使われているフェデラー対策。
バックハンドにライジング強打が備わって手が付けられなくなりつつあった2017年以降でも、フェデラーを崩すにはバック攻めは有効でした。
チチパスはスピン量を調整しながら、フォアでもバックでもフェデラーのバック側にボールを集めているように見えました。
特に自分と同じ片手バックハンドから放たれるエッグボールを嫌がっていたのではないでしょうか。
(フェデラーがあまりスライスを使っていなかったのが不思議でしたが...ちょっとムキになってしまっていたのでしょうか?)
単にスピンごりごりで押し込むだけではなく、ウィナー級のスピードショットも織り交ぜてとにかく攻め続けたチチパス。
フォアの打ち合いでも一歩も引かずに渡り合っていました。
文字通りベースラインから下がらずに上手く角度をつけて返球したことで、フェデラーに気持ちよくネットプレーをさせなかったのも勝因ではないでしょうか。
そして何より、チチパスの「自分が良いプレーをすればフェデラーだって倒せる」という自信みなぎるプレーが、金星を引き寄せました。
この自信(過剰)こそが、打倒フェデラーに最も必要とされることは言うまでもありません。
チチパス vs フェデラーの試合データ
マッチサマリーを見ても、あらゆる局面でフェデラーを上回っています。
フェデラーは試合を通してフカしてしまう(相手ショットのスピンに押されてショットがオーバーしてしまう)場面が多く見られました。
アンフォーストエラーの差に顕著にあらわれています。
単なる不調や、ボールはじめ環境面に原因があったという見方もあるようですが、僕の目にはチチパスのスピンボールによって引き起こされたエラーに見えました。
それだけのショットをチチパスは打っていましたので。
もちろん試合を通してサーブもストロークもチチパス優勢だったわけですが、12度あったブレイクポイントを一度も物に出来なかったのは、フェデラーにとって非常にフラストレーションの溜まる内容だったことでしょう。
(観客や線審によるイライラも多かったでしょうし、難しい試合でしたね)
公式戦ではありませんが、年始に戦ったホップマンカップでも一度もブレイクできなかったフェデラー(試合は7-6 7-6でフェデラーがストレートの勝利)。
新たなる天敵出現の予感漂う敗戦でした。
ちなみに余談ですが、フェデラーは前年優勝でディフェンドするポイントが多かったため、この敗戦により全豪後に発表される世界ランキングで6位以下に落ちることになります。
チチパス vs フェデラーのハイライト動画
チチパスの会心の勝利は、マッチハイライトが7分39秒という異例の長さ。決勝戦並みの扱いです。
おまけに、各セット毎のハイライト動画までアップされる始末(よくやった全豪公式)。
第4セットはタイブレークのみですが、手に汗握るタイブレークがフルで収められています。
控えめに言って、今大会のベストマッチでしたね!
さて、明日(日が変わってるので今日ですが)は大坂なおみと錦織圭が登場する大会8日目。
チチパスと同じくNext Genのメドベージェフがジョコビッチに挑む日でもあります。
チチパスのテニスに感化されて、持ち前のアグレッシブさに神がかった精度が備わってくれることを少し期待しつつ...。
おやすみなさい。
やっぱり全豪は面白い!!