全世界のテニスファンが注目した、全豪オープン2017の決勝戦。
ロジャー・フェデラー VS ラファエル・ナダルの一戦は、フェデラーが6-4 3-6 6-1 3-6 6-3で勝利し、2012年ウィンブルドン以来のグランドスラム優勝を飾りました。
全豪オープンに限定すると、2010年以来の優勝となりました。
お気付きの方も多いかと思いますが、上記で優勝時の対戦相手は、両方ともアンディ・マレーです...。
今回の優勝で、フェデラーのグランドスラム決勝の相手がBIG4のうちマレーなら優勝、それ以外(ナダルかジョコビッチ)だったら準優勝という、2010年から続いていたマレーにとって不名誉な記録がついに途絶えました!
体調万全を証明した両者、光ったフェデラーのバック
試合内容について、軽く触れておきます。
フェデラーもナダルも、「らしさ」を存分に発揮した決勝戦となりました。
この対戦カードでは、ナダルがサーブでもラリー戦でも執拗にフェデラーのバックを狙い、押し込んで崩しにかかる作戦が鉄板です。
球足の遅いクレーではナダル優勢、芝やインドアハードのような球足の速いサーフェスではフェデラーがやや優勢というデータが、これまでの対戦で残っています。
今回も例にもれず、フェデラーのバックを狙い撃ちするナダル。
しかし、今大会のフェデラーのバックは、ズベレフ兄との対戦時に解説したように全盛期を凌駕するクオリティです。
ナダルのフォアに対して互角に打ち合うフェデラー。
わざわざフォアに回り込まなくても攻撃が可能で、バックのライジングショットでダウンザラインもショートクロスも見事に打ち分けていました。
フォアでもバックでも、これまで見たことのないようなタイミングの速さで打球を処理し、攻めてくるフェデラー。
ナダルにとって、はやいテンポで攻めてくるフェデラーは想定内だったでしょうが、バックハンドであれほど攻めてくるのは予想外だったかもしれません。
途中からはボディへのサーブを混ぜて突破口を見い出すなど、随所に工夫が見られたナダル。
諦めずにボールを拾い続ける様子は、完全復活を印象づけました。
しかし「そんな速さで打たれたら誰も取れない」と感じてしまうようなフェデラーのストロークにブレイクを許してしまい、最終セットも途中までリードしていたものの逆転され、敗れました。
試合時間は3時間37分。
最後の最後まで、どちらが勝つのか分からないスリリングな展開。
多くのテニスファンを魅了した、まさに夢のような決勝戦でした。
【フェデラー VS ナダルのハイライト動画】
試合後のスピーチで「テニスに引き分けがあるなら、喜んでラファと勝利を分け合う」と語ったフェデラー。
レジェンドは、テニス史に残る名言で、伝説の一戦に花を添えました。
これでナダルの23勝12敗、ところで初対戦は...
2013年〜2014年とナダルの5連勝でしたが、2015年のスイス・インドアでは勝利していたフェデラー。
今回の勝利で2007年以来の、久々の連勝です。
両者の対戦成績は、ナダルから見て23勝12敗となりました。
キャリアの中で実に35回も対戦してきた両者。
そんな2人が初めて対戦したのは、2004年のマイアミ・オープン(マスターズ1000)の3回戦までさかのぼります。
当時のナダルはランキング34位、一方のフェデラーはマラト・サフィンを破って全豪初優勝を達成し、2月からランキング1位を維持していました。
ナダルはこの試合で、世界1位を6-3 6-3で圧倒する圧巻のテニスを披露し、一躍脚光を浴びることとなります。
【17歳で34位のナダル VS 22歳で1位のフェデラーの初対戦動画】
2度目の対戦は翌年2005年の同大会決勝。
フェデラーが2-6 6-7(4-7) 7-6(7-5) 6-3 6-1で雪辱を果たしました。
そういえば、昔はマスターズの決勝戦は5セットマッチでしたね...懐かしい。
同年7月にはナダルが19歳ながらランキング2位まで一気にかけあがり、ここからしばらく "1位フェデラー・2位ナダル" の時代が続くこととなります。
フェデラー優勝でTOP10入り、マレーは1位維持
全豪オープンが終了して、決勝進出を果たした2人はともにランキングを上げました。
ナダルが3ランクアップの6位、フェデラーは7ランクアップの10位です。
フェデラーは全豪初戦敗退ならシード圏外まで落ちるところでしたが、逆にTOP10入りを果たしました。
こんな35歳、見たことがありません...。
マレーは残念ながら4回戦敗退だったので12,560→11,540ポイントとなりましたが、ジョコビッチが2回戦敗退だったので11,780→9,825ポイント。
1位マレーと2位ジョコビッチとの差は、780→1,715ポイントと開きました。
ジョコビッチは2月後半のドバイ・テニス選手権で90ポイント、インディアンウェルズとマイアミはともにディフェンディングチャンピオンなので計2,000ポイントの失効ラッシュです。
しばらくのあいだマレーの1位は安泰のようですが、2017年の後半にはマレーにも失効ラッシュが待ち受けています。
デビスカップは出場辞退するので、体調を整えて、足首の不安を完全に取り除いて欲しいものです。
そして、昨年出場していなかったドバイで、ポイントの上積みに期待です。
誰も予想できなかった展開となった全豪オープン。
しかし、これは単なる序章に過ぎないのかもしれません。
2017年は、予想のつかない波乱の1年となりそうな予感がします...。
Sir Andyの旅はまだ始まったばかり、マレーのスロースターターにはもう慣れています(笑)
ここから徐々に調子を上げて、満足いく試合が積み重ねられますように...
Let's Go Andy!!