アンディ・マレーがエルステ・バンク・オープン(オーストリア・ウィーン)で見事優勝を飾りました!
余談ですが、エルステ・バンク・オープンは、2015年からATP500に格上げされた大会です。(以前はATP250)
マレーは2014年にも出場して優勝していたので、自身2度目の優勝。
チャンナ・オープン、上海ロレックス・マスターズに続く出場3大会連続優勝と、ますます波に乗ってきた印象です。
エルステ・バンク・オープン2016を振り返る
上海ロレックス・マスターズで優勝してから、1週間は休養にあてました。
迎えたエルステ・バンク・オープンは、少しヒヤヒヤの勝ち上がりとなりました。
第2シードのトマーシュ・ベルディヒ、上海マスターズで決勝を戦った第4シードのロベルト・バウティスタ・アグーが初戦敗退する中、マレーの初戦の相手は難敵マルティン・クーリザン。
クーリザンはツアー5勝の実力者で、ランキング以上の強さを誇ります。
マレーは第1セットこそブレイクポイントを与えながらも凌ぎますが、第2セットには1stサーブの%が48%に...徐々に劣勢を強いられ、タイブレークの末セットを落としてしまいます。
マレーがセットを落としたのは、デビスカップを除けば全米オープン・錦織 圭との対戦以来です。
セットオールとなって目が覚めたのか、ファイナルセットはベーグルを焼き出して圧倒。スコアは3-6 6-7(5-7) 6-0でした。
少し不安な中、次なる相手はジル・シモン。堅実で粘り強いテニスが身上です。
試合開始直後にブレイクに成功する好スタートも、キープに苦しむマレー。
ブレイクバックしてもまたブレイクされの繰り返しで、合計3度もブレイクされ、第1セットを取られてしまいます。
第2セットでも早速ブレイクポイントを握られる苦しすぎる展開も、何とかここを凌ぐと、そこから調子は右肩上がり。
その後はロングラリーでも落ち着いてポイントにし、試合を優位に運びました。
最終スコアは4-6 6-2 6-2で試合時間は2時間41分。2戦連続フルセットと、さすがにシーズン終盤とあって疲れの影響もあるのかもしれません。
準々決勝の相手は過去6戦全勝のジョン・イズナー。全仏2016でもストレートで撃破しました。
イズナーが絶好調だと接戦は必至でしたが、調子がイマイチなイズナーに対してマレーはこの試合絶好調。
イズナーがビッグサーバーなのを忘れるくらいリターンゲームでもプレッシャーを与え続け(イズナーの手の怪我もあって)一気に試合を決めました。
6-1 6-3のストレートで快勝です。
準決勝の相手は前年優勝のダビド・フェレール。これは一転、難しい試合になるだろうと予想していましたが、何とフェレールが試合直前に棄権を申し入れました。
左足の怪我で、ドクターストップがかかったようです。
フェレールの棄権は、キャリア通算でたったの2度目です。
それまでにこなした試合数は何と1024試合!
棄権率の低さは歴代トップではないでしょうか。
175cm・73kgと錦織よりも小さい体型ながら、大きな怪我なくフル稼働でツアーを走り続けてきたフェレールに敬意を表します。
どうか深刻な怪我ではありませんように...。
決勝の相手はジョー・ウィルフリード・ツォンガ。イボ・カルロビッチ相手に大逆転勝利をあげ、勢いに乗っています。
しかし、マレーはフェレールの棄権で1日多く休めたおかげか、試合開始からエンジン全開。あっという間に第1セットを先取しました。
第2セットも早速ブレイクして2-0。圧勝かと思いきや、ここでマレーの「いつもの」が発症。
またもや1stサーブが入らなくなり、ブレイクを許して追いつかれてしまいます...。
そのまま逆転されるのは何とか堪えて、タイブレーク突入。
競った展開の中、最後はいいところでエースが飛び出し試合を決めました。
6-3 7-6(8-6)のストレートで、見事優勝を飾りました!
【マレー VS ツォンガのハイライト動画】
年内ランキング1位の可能性が出てくるも...
マレーが試合に勝つごとに、メディアはマレーのランキング1位について煽ります。
もちろん試合後のインタビューでも、毎回のように「1位のノバク・ジョコビッチに近づいているが」と質問を受けますが、本人は至って冷静。
かつてグランドスラムで勝ったことがなくて、イギリスメディアによって可哀想な目に遭っていたガラスのハートのマレーはもういません。
常に「年内は目の前の試合で良いプレーをして、来年のはじめ頃にそうなっているといいね」というスタンスで、やんわりとした対応です。
今は1位へのプレッシャーよりも、良いテニスが続けられている自信の方が大きいのかもしれません。
もちろん、イワン・レンドルコーチの存在も大きいでしょう。(アジアツアー以降は帯同せず自宅テレビで観戦のようですが...ツアーファイナルで合流予定です)
パリバ・マスターズとジョコビッチ・マレーの関係
全仏オープンで生涯グランドスラムを達成して以降、何かと取りこぼしの多いジョコビッチ。
(最たるものはウィンブルドン3回戦敗退)
上海ロレックス・マスターズでも負けたことのないアグーに敗れました。
一方のマレーは連勝街道まっしぐら。
勢いの差は誰の目にも明らかです。
とはいえ、ジョコビッチはパリバ・マスターズ3連覇中で4連覇がかかっています。
おまけに、2015年の決勝はマレーが挑むも2-6 3-6であっけなく敗退。
ジョコビッチはこの優勝で、史上初のマスターズ6勝を達成しました。
生涯グランドスラムと史上初のマスターズ6勝を決めたフランス・パリに乗り込んで、気分が良くならないわけがありません。
最近の数試合よりも、一段と気合を入れて臨んでくるでしょう。
両選手とも、インタビューに答える様子を見る限り落ち着き払っています。
これが嵐の前の静けさなのか、予想通りに両者とも勝ち進むのか...。
パリバ・マスターズでマレーが1位になる条件
パリバ・マスターズ終了直後にマレーが世界ランキング1位になるには、以下のどちらかが必要です。
・マレーが優勝、かつジョコビッチが準決勝までに敗退
・マレーが決勝進出、かつジョコビッチが準々決勝までに敗退
ただ、個人的には今大会で1位にならなくていいと思っています。
同じ年内に決めるのなら、是非地元のツアーファイナルで決めて欲しいです。
あまり知られていませんが、マレーはツアーファイナルが苦手です。
2009年の初出場以来、7回出場してラウンドロビン(予選)突破はたったの2回。
おまけに2回とも準決勝でロジャ・フェデラー、ラファエル・ナダルに敗れてシーズン終了でした...。
※上海で行われていたマスターズ・カップは2008年のみ出場で、予選は全勝突破でしたが準決勝でニコライ・ダビデンコに敗れました。
悲願のツアーファイナル初制覇で1500ポイント獲得&初のランキング1位が最高のシナリオです。
もちろん、パリバ・マスターズで決めるも大歓迎です。
2016年シーズンも残り僅か、最後まで突っ走ってキャリアハイの今シーズンを締めくくってください!
Let's Go Andy!!