10/16、前日の乱打戦を制した広島東洋カープに続き、北海道日本ハムファイターズが逆転勝利で見事に日本シリーズ進出を決めました。
2016年のプロ野球は、セ・パ両リーグともレギュラーシーズン1位のチームがクライマックスシリーズを勝ち抜きました。
初回に4点を先制される苦しい展開ながら、打線が奮起して逆転勝利。
3点差の最終回を任されたのは、3番DHでスタメン出場していた大谷 翔平でした。
まさかのDH解除での登板です。栗山監督ならではの采配ですね!
目次
大谷 翔平が投じた15球の全球ハイライト動画
下位打線とはいえ、松田 宣浩、吉村 裕基、本多 雄一と好打者が続きます。
大谷は1イニング限定で、初球からフルパワーでミットめがけて投げ込みます。
大谷の投球の全球詳細(1人目:松田)空振り三振
バッター:松田 宣浩 0アウト ランナーなし
【1球目】ファストボール(ツーシーム気味):キャッチャーはアウトコース寄りに構えるも、内角低めに。球速は163km/h。松田は完全に振り遅れて右方向へのファール。カウント0-1。
【2球目】スライダー:ほぼキャッチャーの構え通り、やや外角にブレーキの効いたスライダー。球速は141km/h。松田は打ちに行くもバットの先でファール。0-2。
【3球目】ファストボール:キャッチャーはアウトコース寄りに構えるも、真ん中付近に。球速は164km/h(自身の持つ日本記録タイ)。コース自体は甘いものの、0-2と追い込まれてスライダー・フォークが頭にあるはずなので振り遅れてファール。0-2。
【4球目】スライダー:キャッチャーの意図通り、アウトローのボールゾーンにスライダー。球速は143km/h。一旦バットが出かかるもしっかりと見極める。1-2。
【5球目】スライダー:アウトローのストライクゾーンから曲がるワンバウンドのスライダー。球速は145km/h。かなり良いコースに配球されたため、バットが止まらずハーフスイングで空振り三振。
大谷の投球の全球詳細(2人目:吉村)空振り三振
バッター:吉村 裕基 1アウト ランナーなし
【6球目】ファストボール(ツーシーム):キャッチャーの構えは外角だが、またも初球は内角低め、次はボールゾーンへ。球速はプロ野球新記録の165km/h。吉村は積極的に振りに行くも空振り、ベンチの内川が良いリアクション・表情。カウント0-1。
【7球目】ファストボール:外角に構えるものの、制球できず真ん中やや高めへ。球速は164km/h。振り遅れて右方向へのファール。0-2。
【8球目】スライダー:キャッチャーの構え通りアウトローへのスライダー。球速は143km/h。スライダーの制球は良く、見逃したらギリギリボールくらいの絶妙なコース。吉村は打ちに行くもバットに当たらず空振り三振。
大谷の投球の全球詳細(3人目:本多)ショートゴロ
【9球目】ファストボール:キャッチャーの構えはアウトローで、やや外角の低めへのボールはストライクゾーンよりも低いように見えたがストライク判定。球速は164km/h。本多はしっかりと見極めるもストライクのコールに不満げ。0-1。
【10球目】フォーク:とりあえず低めに落とすように、とのキャッチャーのジェスチャーを受けて投じたフォークは内角低めへのワンバウンド。球速は151km/h。本多は打ちに行くもバットに当たらず追い込まれる。0-2。
【11球目】ファストボール:リリース直前にアウトコースいっぱいにミットが移動、1球外さずに決めにいった可能性も。真ん中やや外寄りへのファストボール。球速はまたも165km/h。本多は追い込まれているのでファストボールは基本的にカットで、変化球は見極めようというスタンス。このボールはカットでファール。0-2。
【12球目】ファストボール:キャッチャーは本多の振りを見て前述の内容を察知、内角のストレートで打ち取りに行こうとするも、大谷の投球は真ん中高めへ。見逃すとギリギリストライクくらいのコース。球速は163km/h。本多は何とかカットでしのぐ。0-2。
【13球目】フォーク:真ん中ボールゾーンへおとすフォークを要求も、力が入りすっぽ抜けでアウトハイに。球速は148km/h。見逃してボール。1-2。
【14球目】フォストボール:アウトローに構えるも力が入ってやや内角低めへの逆球に。球速はこの日3度目の165km/h。本多は何とか食らいついてファールで逃げる。1-2。
【15球目】フォーク:真ん中やや低めストライクゾーンへのフォーク。球速は149km/h。本多は当てるだけのバッティング、全力疾走も及ばずショートゴロに倒れてゲームセット。
流石に緊張もあったでしょうし、逆球も多くなっていましたが、殆どフェアゾーンに打球を飛ばさせない投球でした。
ファストボールは多少コースが甘くても問題のないスピードと球威。
スライダーは狙い通りに制球されていて言うことなし。スピードもあります。
フォークも他の投手のファストボールくらいの球速で、よほど甘く入らない限りは打たれないでしょう。
アメリカでは「フォーク」ではなく「スプリッター」
さて、動画の中で解説の方が151km/hのフォークを目の当たりにして一言。
「アメリカでも151のフォーク投げるピッチャーいませんよね!?」
アメリカではフォークを投げるピッチャーが非常に少ないので(野茂のフォークも佐々木のフォークも、現地では「スプリッター」扱いだったようです)、確かに151のフォークを投げるピッチャーはいないかもしれません。
しかし、151km/hの落ちる球を投げるピッチャーならアメリカにもいます(最近はあまり詳しく見られていませんが、少なくともいました)。
間違いなくロジャー・クレメンスが投げていたスプリッターは、94マイル(150.4km/h)は出ていたはずです。
1996年に20奪三振を達成した際の映像で、100マイル(160km/h)超えのファストボールの伸びがえげつないです。
また、「高速フォーク」と言えば忘れてはいけないのが斉藤 和巳です。
まだクライマックスシリーズが導入されて間もない頃、テレビにかじりついて観ていました。
ファストボールの最速が152km/hなのに、フォークが最速146km/hという反則ぶり...。
おまけにカウントを取るカーブ、スライダーとも制球バツグンでした。
私生活で問題も多く、色々と評価が分かれるピッチャーですが、野球の腕に関しては今世紀トップ5に入る先発投手だと思います。
特に150試合(うち先発137試合)の登板で、通算勝率.775(79勝23敗)というのは、異常としか言いようがありません。
24勝無敗という神業のあった田中 将大でさえ、175試合(うち先発172試合)の登板で.739(99勝35敗)です。
高速フォークから少し話がそれてしまいましたが、もちろん大谷のフォークが凄まじいことには変わりありません。
大谷 翔平の次なる伝説は日本シリーズ第1戦?
プロ野球の常識をことごとく打ち破ってきた大谷 翔平(と栗山監督)。
交流戦以来となる、ピッチャーが打席に立つセ・リーグルールでの対戦がある日本シリーズ。
大谷 翔平は一体どんな起用法で登場し、どんな伝説を残していくのか。
対する圧倒的得点力を誇る「逆転の広島」打線は、大谷をはじめ日本ハム投手陣をどう攻略していくのか。
近年稀に見る名勝負が生まれそうな、非常にワクワクする日本シリーズは、第1戦が10月22日(土)マツダスタジアムで18時30分から試合開始予定です。
大谷 翔平が1番・投手で誰よりも早く打席に立っているかもしれません!(笑)