日本人打者、野手がメジャーリーグに挑戦し始めたのは2001年。
オリックスブルーウェーブのイチローがシアトル・マリナーズへ、阪神タイガースの新庄剛志がニューヨーク・メッツへ移籍したのが始まりです。
日本人打者のメジャーリーグデビューは、4月2日に1番ライトでスタメン出場したイチロー。
それ以来、日本プロ野球で活躍・成功した野手はメジャーリーグ挑戦を考えるようになってきています。
今回は、メジャーリーグで野手出場してきた16人のバッター(※中島裕之はメジャー昇格がなかったので除外)のうち活躍した、成功したと言える野手5名を挙げます。
(追記:大活躍して2018年の新人王にも輝いた大谷翔平をランキングに含めて再投稿予定です)
目次
イチロー(1位)メジャーで活躍して日本人野手の価値向上に貢献
メジャーリーグで最も活躍した日本人バッターは、間違いなくイチローです。
日本人ピッチャーが大リーグで活躍できるのは、イチロー渡米前年に新人王を獲得した大魔神こと佐々木主浩、パイオニアの野茂英雄らで実績があったため知られていました。
しかし、バッターが通用するかは全くの未知数。成功の前例がありませんでした。
シーズン前のキャンプ中では、イチローが本当に打てるのか、日本と同じように活躍出来るのか懐疑的な評価が飛び交いましたが、ルーキーイヤーから歴史的な大活躍を見せつけます。
首位打者、盗塁王に加えてメジャー2人目の新人王・MVPダブル受賞。
それ以降10年連続でシーズン200本安打とゴールドグラブ賞受賞。
2004年にはメジャーリーグのシーズン安打記録を84年ぶりに更新する262本のヒットを積み重ねました。
この記録は10年連続200本安打と並び、更新不可能なメジャーリーグ記録(アンタッチャブルレコード)で残り続けるでしょう。
https://ichimame.com/baseball/ichiro-untouchable-record-1
打撃、走塁、守備すべてで高次元のパフォーマンスを続け、日本人バッターと日本プロ野球の価値を上げた功績は甚大です。
27歳でのメジャーデビューながら通算3000本安打達成が秒読み段階まできており、殿堂入り確実の評価を受けている唯一の日本人バッターです(追記:2016年8月8日にメジャー通算3000本安打を見事達成しました)。
【イチローフィーバーの社会現象が起こったルーキーイヤー動画】
松井秀喜(2位)メジャーにパワーで挑んで大活躍
日本人初のワールドシリーズMVPを獲得するなど、メジャー屈指のクラッチヒッター(チャンスに強い好打者)の評価を得ていた松井秀喜。
名門ニューヨーク・ヤンキースで4番打者も務め、多くの試合に出場しました。
打撃面の活躍にスポットが当たりがちですが、基本に忠実で、常にベストに近いチョイスのできる走塁や守備も高く評価されていました。
人間性も素晴らしく、同僚のデレク・ジーター(ニューヨークの貴公子と称されるスーパースター)も一目置く存在であり親友でした。
松井の活躍の素晴らしい点は、日本時代と同じく、ホームランが期待されるパワーヒッターのスタイルで成功した点です。
ルーキーイヤーこそメジャー独特の動くボールに苦戦、「ゴロキング」と揶揄された経験もありましたが、それ以降はコンスタントにOPS.850以上と打棒の発揮に成功。
メジャー2年目には日本人バッター初の30ホームラン超え(未だに唯一の記録)、OPS.912を記録。
メジャーリーグを代表する強打者の地位を確立させました。
日本時代の活躍からすると物足りない成績かもしれませんが、メジャーリーグで20ホームラン・100打点以上を毎年計算できる選手は限られています。
メジャーリーグで成功した実績は色褪せませんし、怪我さえなければもっと長くプレーできていたはずです。
2009年には日本人唯一のワールドシリーズMVPにも選出。
そうそうたるメンバーが揃うヤンキース打線でしたが、このワールドシリーズでは間違いなく松井が最も活躍した、怖いバッターでした。
【MLB 松井秀喜ダイジェスト動画】
田口壮(3位)打撃成績が日本時代よりも向上した唯一の選手
当ブログ管理人がオリックスファンなので完全にひいきが入っていますが...笑
田口壮はワールドチャンピオンが決まった時にフィールド上にいた初めての日本人バッターです。
メジャー移籍当初は代走や守備固めなど控えポジションに甘んじていましたが、3年目以降は勝負強い打撃が評価されてチームの主力野手で活躍。
2004年には打率.291、得点圏打率.341を記録してチーム新人王となり、公式サイトのアンケート「チームが最も必要としている選手」の項目で堂々の1位に輝くなど成功を収めました。
プレーオフでの160km/h左腕ビリー・ワグナーからのホームランや、ワールドシリーズの超重要局面での代打バント成功など、大舞台でのパフォーマンスの良さが高評価だったいぶし銀。
どのバッターも共通してメジャーの打撃成績は下降する(OPSは1割以上下がる場合が多い)中で、田口は日本時代よりも打撃成績が向上した唯一の選手です。
NPB通算:打率.276 出塁率.332 長打率.384 OPS.716
MLB通算:打率.279 出塁率.332 長打率.385 OPS.717
ずっとレギュラーで活躍した訳ではないので評価が分かれますが、十分に活躍・成功した選手と言えるでしょう。
【守護神ワグナーの98マイル(約157.7km/h)を仕留める田口壮の動画】
井口資仁(4位)内野手として打撃、守備とも通用
打撃開眼以降、ダイエーホークスではダイハード打線の中軸を任され大活躍した井口資仁。
シカゴ・ホワイトソックスでのルーキーイヤーは、主に2番セカンドで起用されます。
1番のスコット・ポドセドニックが出塁したらトコトン走りたがる選手で、そんなトップバッターと後ろを打つ3人のホームランバッターらに挟まれ、自由なバッティングができない中で大奮闘。
ホワイトソックスが掲げていた「スモール・ボール(スマート・ボール)」体現に大きく貢献し、ルーキーイヤーからチームのワールド・シリーズ制覇の立役者として活躍しました。
監督のオジー・ギーエンが「今年のMVPは井口。井口みたいな野球を深く理解している選手はいない。彼がいたからホワイトソックスはワールドシリーズを制覇出来た。」と評価したことからも貢献の大きさが伺えます。
メジャーリーグ実働4年で通算成績は打率.268 出塁率.338 長打率.401 OPS.739。
成績は物足りない数字かもしれませんが、数字以上の状況に応じたバッティングが非常に高く評価されていました。
守備もセカンドを守り続け、地面すれすれスローなどファインプレーもたびたび披露。
他の日本人野手が内野守備に悪戦苦闘する中で、井口は完璧に順応してレギュラー格で活躍した点も評価できます。
【井口資仁のスーパーフライングスロー動画】
城島健司(5位)初の日本人捕手メジャーリーガー
メジャーリーグで日本人が、レギュラーのキャッチャーで試合出場...
そんな永遠に叶わない夢のような話を、現実に成し遂げたのが城島健司です。
2006年にメジャーリーグデビューして開幕戦での初安打がいきなりホームラン。
1年目から持ち前のパワフルな打撃が炸裂し、ルーキーイヤーの成績では松井を上回る18ホームランをマーク。このホームラン数はチームのキャッチャー記録でも歴代最多タイの本数でした。
ルーキーイヤーの成績は144試合出場で打率.291 18ホームラン 76打点 出塁率.332 長打率.451 OPS.783という堂々たるもの。
守備では特に言語の壁や、日本とメジャーの違い(日本では打ち取れる球種を考えてリードするが、メジャーでは投手が投げたい球種を選択して気持ち良く投げさせるリードが推奨される)に苦しみ、なかなか結果が出せないでいました。
それでも何とか順応して、2シーズン目も135試合に出場。
当時の守護神J.J.プッツとのリード面での葛藤の日々は、テレビでも取り上げられていました。
最終的にメジャーリーグで462試合に出場、初の日本人キャッチャーとして歴史にその名を刻みました。
【城島とイチローの守備好プレー集動画】
川﨑宗則(特別賞)最も愛され、成功した日本人
イチローと野球が好きすぎてメジャーリーグに挑戦した「永遠の野球少年」川﨑宗則。
少ない出場機会ながら圧倒的な存在感を放ち、メジャーリーグでも指折りの人気者です。
野球ファンの間で愛された人気者という意味では、他のどの日本人バッターよりも優れていたかもしれません。笑いを取る能力は間違いなく歴代No.1でしょう。
メジャーリーグであろうとマイナーリーグであろうと、ただ純粋に野球が好きでその環境を楽しめる。
周りの選手を巻き込んで、ムードメーカーとして仲間を叱咤激励・鼓舞していける。
川﨑はグラウンド外でのチームへの貢献が非常に大きく、各移籍先で必ずチームに不可欠な存在として監督や同僚、ファンから認められています。
伝説のスピーチ「Just swing. Just throw. Just catch. Don’t think everybody, just win!」は、長く後世に語り継がれていくのではないでしょうか。
(参考URL)“川崎宗則選手のスピーチ”が「伝説に残る」「人の心を捉える」とアメリカで讃えられている!
内野守備もショート、セカンドとも無難にこなして評価が高かったのが印象的です。たまに長打が飛び出すとベンチがお祭り騒ぎでしたね。
【何度見てもつられて笑うw 川﨑全米デビュー動画】
青木宣親(次点)日本が誇る安打製造機
シアトル・マリナーズに移籍してからは不調でマイナー落ちも経験している青木宣親。
メジャーリーグデビュー以来、コンスタントに出塁率.350以上をマークしてきた優秀なリードオフマンだけに、本来の力を取り戻して欲しいものです。
(追記)2018年から日本球界に復帰した青木は、プロ野球の感覚を取り戻したあたりから打撃が復調。坂口智隆と山田哲人を繋ぐ2番打者として高打率・高出塁率をキープし続け、プロ野球通算打率ランキングでは歴代トップの位置にいます。
数年後には現在プロ野球で活躍している山田哲人や柳田悠岐が、メジャーリーグで成功を収めるかもしれません。
一時期よりは日本人野手の評価が下がってきているので、第一線で活躍する日本人打者の登場が待ち遠しいですね。
以上、メジャーリーグで活躍・成功した日本人打者ランキングTOP5でした!